《コロナ現場発》妊婦の感染 心身に影響、ケア不十分 接種や予防徹底を
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 長期化する新型コロナウイルスの感染状況が出産に影を落としている。感染した妊婦は心身に影響を受ける半面、医療従事者側は十分なケアを提供しにくい。本来なら必要ない帝王切開を迫られる場合もある。関係者は、妊婦本人や家族にワクチン接種をはじめ予防策の徹底を促す。

歯がゆい

 「せきがひどくて不安そう。なのに、コミュニケーションは不十分。歯がゆかった」。北関東に住む助産師の40代女性は語った。新型コロナに感染した妊婦を受け入れる病院に勤めている。今月上旬、感染して入院する20代妊婦の健康状態を確認した。

 妊婦は妊娠中期。女性は防護服姿で病床へ行き、医療機器を使って胎児の心音を確かめ、子どもは元気だと母親へ伝えた。接することができる時間は限られていて、会話は十分にできなかった。妊婦は家族とも面会できない。

 この病院では、感染した妊婦も安全に出産できるよう体制を整えている。感染や妊娠の状況によっては、帝王切開も検討される可能性がある。女性は「本来なら必要ない医療介入には、やはり抵抗がある」と話す。

 子どもを授かるタイミングは人それぞれ。「ワクチンが未接種で感染すれば、妊婦さんが受けるショックはより大きいと思う。後悔しないためにも、接種するかどうか家族と検討できると良いのでは」と語る。

対応病床は少数

 新型コロナに感染し、入院している妊婦は県内で6人(7日時点)。第1波、第2波の時よりも増えている。感染者を受け入れられる病床は段階的に増え、県内に500床以上ある。うち何床が妊婦に対応できるか県は明かしていないが、ごく少数という。

 新型コロナと出産を巡っては、千葉県柏市で感染した妊婦が8月、自宅療養中に早産して新生児が死亡。国は同月、妊婦や配偶者が望む場合はワクチンを早く接種できるよう自治体に配慮を求めた。三重県では今月、濃厚接触者と認定された妊婦が、PCR検査を受けていないことを理由に産婦人科に受診を断られ、流産するケースが起きた。

 特に妊娠後期は重症化しやすく、早産のリスクも高まるとされる。日本産科婦人科学会などは8月、ワクチンについて「妊婦は時期を問わず接種することを勧める」と提言している。(五十嵐啓介)

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