災害時の実名公表、救助活動で公益性 群馬県のガイドライン 熱海では多くの安否判明
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 2019年10月の台風19号の被害を踏まえ、群馬県は同年11月、自然災害による被災者氏名の取り扱いに関するガイドラインを示した。公益性の観点から「実名公表が前提」としながら、家族らの同意がなければ匿名で公表するとしている。

 台風19号で県内4人が犠牲となったが、県は家族の意向を理由に匿名で発表。県庁記者クラブの実名公表の申し入れなどを受け、ガイドラインを作成した。

ガイドラインによると、死者に関する公表範囲は氏名、市町村名、年齢、性別、死因。遺族が公表を望まなかったり、住民基本台帳の閲覧制限などがされていたりする場合は個人が特定されない情報に限定する。安否・行方不明者の効率的な救助や捜索活動につながる場合は公表し、制限事項があれば個人が特定されない情報に限るという。

 全国知事会の危機管理・防災特別委員会は今年5月、全国で画一的な対応は求めないとしつつ、救助活動が効果的にできるなど、氏名公表には「公益性」があると指摘。死者を実名公表することで国民の知る権利に応え、災害の教訓を残せるとの考え方も示した。

 安否・行方不明者の実名公開に踏み切った自治体もある。7月に静岡県熱海市で起きた土石流で、同県は発災3日目、住民基本台帳に基づいて被災地域に住んでいたとみられる人で、所在が判明しない64人の名簿を公表した。情報が寄せられ、翌日には40人以上の安否が判明したという。

 同県危機管理部は「早期に安否が判明した情報を自衛隊や警察、消防などと共有し、効率的な捜索活動につながった」としている。遺族の了解を得て死者全員の氏名も公表。当時の対応について、今後も検証を進めていくとしている。
(藤田賢)

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