再発防止は費用が壁 わ鉄脱線事故1年 厳しい財政状況公的支援が頼み
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脱線事故のあった八木原踏切付近。3本に1本の間隔で枕木がコンクリート製に変更されている=15日、桐生市黒保根町水沼

 わたらせ渓谷鉄道(わ鉄、群馬県みどり市)で起きた検査用車両の脱線事故から、22日で1年になる。国の運輸安全委員会が原因を調査中だが、わ鉄は設備の老朽化が背景にあったとみて、枕木交換などの対策を進める。地方鉄道が厳しい財政状況にさらされる中で、1年前の事故は安全対策を盤石にする難しさを浮かび上がらせた。地方鉄道共通の課題として、再発をいかに防ぐかが問われている。

 事故は花輪―水沼間の八木原踏切付近(桐生市黒保根町水沼)で起きた。3両編成の2両目がカーブ区間で脱線し、踏切内で停車。乗車していた職員ら7人にけがはなかったが、一部区間で運休が19日間続き、沿線利用者や観光客延べ約1万人に影響した。

 わ鉄は事故後、桐生、みどり、栃木県日光の沿線3市と群馬、栃木両県でつくるわ鉄再生協議会と、国の支援を受けた。管理する線路(42・2キロ)の枕木約6万本のうち、1599本を新品に、458本を強度が高く耐用年数が長いコンクリート製に交換した。

 線路などの保守管理に当たる職員を2人増やす対応もしており、樺沢豊社長は「事故を教訓に、より安全を追求していきたい」と決意を新たにする。

 再生協は3月、わ鉄への2018~22年度の補助額を13~17年度と比べて約7億円増額することを決定。22年度までにコンクリート製の枕木を新たに1万800本導入する計画だ。

 わ鉄によると、枕木が老朽化すると2本の軌道の間隔を一定に保てなくなり、脱線につながる可能性がある。事故以前から、傷みが見つかった枕木を新品に交換してきたが、単価が倍以上となるコンクリート製を大量導入する財政的余裕はなかったという。

 わ鉄に限らず、上毛電鉄(前橋市)や上信電鉄(高崎市)などは沿線の人口減や、少子化による通学利用者の減少で厳しい経営が続き、公的支援に頼らざるを得ない状況にある。限られた予算の中で安全対策を進めているのが実情だ。

 高崎経済大の大島登志彦教授(交通地理学)は「地方鉄道が単独で安全対策を完璧にするのは難しい」と指摘。高齢化社会を迎えて車を運転できない人が増えるとし、「道路に投資してきた公的資金を鉄道の維持管理に回すべき」と訴えている。

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