出動の陸自ヘリ隊員気持ち まだ区切り付かず 本白根噴火5カ月

 12人が死傷した群馬県の草津白根山(草津町)・本白根山の噴火は23日で発生から5カ月となった。噴火当日、災害派遣で出動した陸上自衛隊第12旅団第12ヘリコプター隊の3人が上毛新聞の取材に応じ、緊迫する中での活動を振り返った。「仲間を亡くし、けがをした隊員は今も入院している。気持ちの区切りが付かない」と胸の内を明かした。

 パイロットの黒木貴夫1等陸尉(45)と末田幹夫1等陸尉(40)、機上整備員の西山賀理2等陸曹(38)が心境を話した。

◎「いつ、何が起きるか分からない」「訓練を積むことが重要」

 噴火直後の1月23日午前10時すぎ。黒木さんは相馬原駐屯地(榛東村)で「草津国際スキー場で訓練中の隊員が負傷した」との一報を受け、出動の準備をしていた。新たにスキー客約70人が取り残されていることが判明。一般客を救助するための隊員をヘリで現地に搬送する任務が与えられ、約20人を乗せて出発した。末田さんと西山さんも別のヘリで隊員を乗せて急行した。

 悪天候で視界が悪く、雲の隙間を縫うようにして飛ぶ中、仲間の安否が気になった。だが、指令は救助活動する隊員の搬送。3人は「同僚の無事を信じ、任務に専念した」と口をそろえる。

 スキー場のロープウエー山頂駅に取り残された客らは、3人が送り届けた救助隊員らに助け出された。噴石でけがをした訓練中の隊員はスキー場や消防の職員らが救助した。

 隊員は災害時、限られた情報から最適な行動を取らなければならない。今回も吹雪で着陸が難しい状況だったが、冷静に対応した。3人は「装備面と精神面で準備を欠かさない姿勢が活動に生きた」と振り返る。

 黒木さんは東日本大震災の際、福島第一原発の数キロ圏内でヘリによる被災者の救出を経験。「慌てず、安全に飛行する大切さを痛感している」と話す。末田さんは、活動に対する若手隊員の不安を取り除くことを心掛けているという。

 今回の噴火で伊沢隆行陸曹長(49)=3等陸尉に特別昇任=が噴石に当たって死亡するなど多くの同僚が負傷した。3人は伊沢さんと同じ所属部隊。黒木さんも当日スキー場で訓練に臨むはずだったが、予定が変わり参加しなかった。「いつ、何が起きるか分からない」と黒木さん。「万が一の災害を想定し、訓練を積むことが重要だ」と力を込めた。

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