《ぐるっと点検》群馬のマグロの消費量 海なし県でも全国4位 1世帯当たり年3.5キロ 流通発展が背景

 「海なし県」だがマグロ好き―。総務省の家計調査によると、群馬県前橋市のマグロの年間消費量(2015~17年平均)は1世帯当たり3538グラムで、全国52の都道府県庁所在地と政令指定市のランキングで4位だ。一方、全国有数の畜産県にもかかわらず、生鮮肉の消費量は最下位。肉よりも魚を食べる習慣は、海へのあこがれなのか。

 高崎市石原町の鮮魚店「魚岩」。マグロの皮に付いている身をかいた「ひっかき」を求める客で連日にぎわう。脂が乗った数種類のマグロを混ぜ合わせた店の名物だ。刺し身も人気を集める。

 代表の横田淳次さんは「『週末に誰か来るから』とか、ちょっとしたお祝いでマグロを買っていく人は多い」と説明する。

 ■長らく上位

 マグロ消費量の上位に目を向けて見ると、1位はダントツの静岡市。5384グラムは全国平均の2・5倍に上る。消費量だけでなく、県としては水揚げ量も最多で、名実ともに日本一の「マグロ県」と言えそうだ。

 ただ、2位以下は様子が違う。2位は3722グラムの宇都宮市、3位は3703グラムの甲府市で、4位の前橋まで海なし県が続く。同市の消費量は長らく全国上位にある。

 群馬でマグロがよく食べられる理由について、群馬県水産市場(高崎市下大類町)は、1979年に同市総合地方卸売市場が開設し、「流通が発展したことが背景にある」と分析する。セリ場に並びきらないほどマグロの取り扱いが多かった時期もあるという。

 ■冷凍保存効く

 冷凍保存が効き、長持ちするという点も、好まれる理由とみられる。山あいにある県内の温泉地でも料理にマグロを提供する旅館やホテルは少なくない。
 伊香保温泉のある旅館は「多くのお客さまに同じ料理を提供するには、たくさん仕入れて保存しておく必要があり、その点マグロは扱いやすい」と事情を明かす。赤身のマグロは見た目が映える効果もあるという。

 流通が発展する一方、「魚離れ」も進む。家計調査では1世帯当たりの生鮮魚介への支出額は減少傾向。消費者の生活習慣や好みの変化などから、鮮魚より総菜や加工品が好まれるようになり、鮮魚売り場を縮小するスーパーもある。
 横田さんは、「町の魚屋は昔に比べて激減したが、魚をおいしいと思ってもらえるよう、安全で安心な魚を食卓に届け続けられるプロが残っていかなくてはならない」と話している。

 ◎タイ、ブリは人気低調

 鮮魚の消費量で前橋市はマグロが全国上位なのに対し、タイやブリは少なく、西日本が上位を占める。「東のマグロ、西のタイ」と言えそうだ。家計調査によると、同市の1世帯当たりの消費量は、タイが全国48位の187グラム、ブリが全国49位の1075グラムだった。

 タイは上位が佐賀市(2022グラム)、熊本市(1637グラム)、長崎市(1574グラム)、ブリは富山市(5169グラム)、金沢市(3837グラム)、松江市(3223グラム)の順だった。

 東日本でタイの消費量が最も多いのは秋田市(636グラム)。男鹿半島がタイの漁場で、「鯛(たい)まつり」が開かれるなど、つながりが深いことが背景にあるとみられる。
(堀口純)








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