取り込め 訪日登山客 県が多言語ガイド本マナー啓発動画

 外国人旅行者に群馬県の山々を楽しんでもらおうと、登山環境を整備する動きが広がっている。インバウンドに熱い視線を注ぐ自治体などは多国籍言語による登山ガイドブックや動画を作製し、登山道には英語の案内板も計画。8月11日に「ぐんま県境稜線(りょうせん)トレイル」の全区間開通が控える中、山岳県の特長を生かした誘客につなげたい考えだ。一方で外国人の遭難も起きており、安全面に課題も残る。

 県は、本県と新潟・長野両県の稜線100キロを結ぶ稜線トレイルの全区間開通に向け、日本語と英語を併記したガイドブックを作製中だ。トレイルの魅力やコースの説明、難易度といった情報を盛り込み、登山計画に役立ててもらう。

 ルート上に設置する案内板やコースを示す道標にも英語を記載予定で、担当者は「日本語を併記することで、日本人登山者に相談しやすいよう工夫した。助け合いながらトレイルを楽しんでほしい」と説明する。

 外国人旅行者に人気のあるみなかみ町などをエリアに持つ県利根沼田行政県税事務所は、6月から「利根沼田地域 日本百名山夏山ルートガイド」英語版の配布を始めた。外国人登山客がさらに増えると見込んでのことだ。

 同事務所は「登山を入り口に、温泉や周辺施設など地域全体を知ってもらいたい」と期待する。谷川岳を抱えるみなかみ町も2016年に英語と中国語(簡体字、繁体字)のパンフレットを作っている。

 自然保護を啓発する取り組みもある。尾瀬保護財団は「尾瀬のマナー」のタイトルで英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字)の4種類の動画を作り、16年から動画サイト「ユーチューブ」で発信。湿原に立ち入らないことやごみの持ち帰りなどを呼び掛けている。

 人気の高まりとともに、懸念されるのが遭難などのトラブル。県内では今年2月、ドイツ人男性が片品村の日光白根山登山で道に迷い、遺体で発見。昨年2月にもスイス人男性が谷川岳でスキー中に足の骨を折る重傷を負った。県警は登山届の提出を呼び掛けているが、外国人観光客向けの書式はないのが実情だ。

 県山岳連盟の佐藤光由理事長(57)は「登山環境をより良くし、外国人登山客にも豊かな群馬の自然を楽しんでほしい」と話している。

関連記事
県内ニュース > 社会・話題の記事