《ぐるっと点検ぐんま》助産師 広がる活動 役割変化
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 出産の手助け役として欠かせない存在だった助産師。近年は病院・診療所での出産が大半で、助産師の担う役割も大きく変わった。産婦人科医が減少し続けているのに対し、群馬県内の助産師は2016年末時点で499人で、10年末の2割増。子育て支援や母子訪問指導など、育児相談ができる身近な専門職として、母親を支える心強い存在となっているようだ。

■6年で2割増
 出産を取り巻く環境は厳しさを増す。県が4月に公表した県保健医療計画(18~23年度)によると、出産を取り扱う病院・診療所は6年前に比べ6施設減。産科医は10人減となった。2025年までに常勤の産科医全員が65歳以上となるのは13施設で、出産を扱う施設は今後も減少する見込みだ。

 厚生労働省の衛生行政報告例によると、県内の助産師は16年末時点で499人で、10年末比94人増(23%増)だった。勤務先別では病院309人、診療所107人、助産所21人、市町村11人、養成所・学校41人など。助産師と保健師双方の免許を持つのは19%。年齢別では30~39歳が148人で全体の30%に上った。

 16年の人口動態調査で、病院・診療所での出産は99.7%を占めたが、助産師の役割は増している。

■26市町村と契約
 核家族化などで孤立しがちな母親の産後うつを防ぎ、休息してもらう館林市の「産後ケア事業」は14年に導入。1人7回まで利用でき、昨年度の利用は101人、利用日数は当初比28%増となった。館林・邑楽の6市町は、2カ月未満の乳児のいる母親が指定の医療機関・助産所で母乳マッサージや食事、沐浴もくよく指導などを受けられる。1回2000円。朝から夕方まで過ごせるデイケア型が主流だ。

 同様の事業は昨年度から利根・沼田の5市町村、本年度からは藤岡市が開始。桐生、太田両市も導入している。大泉町の山口あゆみさん(32)は千葉県出身。乳腺炎を発症して母乳育児に悩んでいた時、事業を利用した。「実家の母が1週間ほど来てくれたが、その後は相談する人もおらず困っていた。助産所では心身ともに休めて母乳も出るようになった」と感謝する。

 こうした母親を支える県助産師会(鈴木せい子会長)は会員120人。26市町村と乳児教室などの委託契約を結ぶ。主力の母子訪問は助産師50人が県内新生児の3分の1、約4500人に関わる。鈴木会長は「病院勤務者も多いが、地域に根差した助産師として母と子の健康を支えていきたい」と強調する。

◎「命の大切さ」指導

 県助産師会は産前産後の母親のサポートに加え、「いのちの大切さを伝える出前講座」にも力を注いでいる。昨年度は小・中学校と高校、特別支援学校計127校で開き、児童生徒・保護者約1万9000人が参加。助産師が、誰もが待ち望まれて生まれてきたことや命が誕生する瞬間の感動を語り続けている。

 21年前の神戸連続児童殺傷事件を受け、全国に先駆けて始めた講座は、第1回こころを育む総合フォーラム全国大賞などを受賞。同会は自殺対策強化事業にも取り組んでいる。(和田吉浩)

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