前橋空襲の記憶 継承に暗雲 自治会の歴史資料館が運営難に
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「住民の手で歴史を語り継ぎたい」と話す原田さん(左)と柿沼さん

 前橋空襲の被害や戦時中の暮らしを伝えるあたご歴史資料館(前橋市住吉町)の運営が壁に突き当たっている。地元自治会が独自に開設する珍しい施設だが、運営を担う住民は高齢化し、財源も不足する。小中学生を中心に年間200人が訪れて平和の尊さを学ぶ場は、今後も活動を続けられるか不透明だという。

◎クーラーは壊れたまま 運営する住民の平均年齢が80歳超える

 「必勝」などの寄せ書きがある日章旗や、子ども用の防空頭巾、広瀬川から見つかった焼夷しょうい弾―。資料館は市民らから寄贈された600点ほどを収蔵し、うち100点を展示する。

 市中心部に位置する同町は空襲で多くの犠牲者を出した。昭和の戦争や戦後復興の足跡を次代に伝えようと住吉町2丁目自治会が、かつて母子福祉センターだった建物を市から無償で借り受け、2012年11月に開館した。自治会は広瀬川に架かる比刀根橋前で毎年慰霊祭を開いている。

 運営は全て自治会費でまかなうが、電気代などの固定費だけで年間20万円ほどかかり、新しい設備を入れるのは難しい状況。猛暑のこの夏も、母子福祉センター時代のクーラーは壊れたまま買い替えできず、扇風機でしのいでいる。

 開館から6年近くたち、運営に当たる住民の平均年齢は80歳を超えた。「いつまで続けられるか分からない」というのが、正直な思いだという。

 空襲で過酷な経験をした同館学芸員の原田恒弘さん(80)は「いずれ空襲体験者はいなくなる。だからこそ今を大切に、歴史を語り継ぎたい」と強調する。自治会長の柿沼孝さん(78)も「資料館がここにある意義は大きい。若い人たちに見てほしい。手伝ってくれる人もいれば」と呼び掛ける。

 入館無料。開館は火、木、土曜の午後1時~3時。14~31日は夏期休館。問い合わせは同館(電話027-289-4844)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事