ヘリ墜落で9人全員死亡 懸命救助 実らず 凄惨な現場に声失う
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雨の中、墜落現場へと向かう消防や自衛隊員ら=11日午前5時15分ごろ、長野県山ノ内町
報道陣の取材に応じる大沢知事(右)=11日午後0時55分ごろ、吾妻広域消防本部西部消防署

 群馬県防災ヘリコプター「はるな」が中之条町の山中に墜落した事故で、県は11日、防災航空隊員ら搭乗者9人全員の死亡を確認したと明らかにした。航空自衛隊のヘリが、機体の残骸周辺で10日に2人、11日に7人を収容した。現地入りした運輸安全委員会の航空事故調査官は「何らかの原因で高度が下がり、木と接触したとみられる」と説明。今後、原因究明に向け調査を本格化させる。

◎機体散乱 凄惨な光景に言葉失う

 「本当にこれがヘリなのか」―。県防災ヘリコプター「はるな」の墜落事故から一夜明けた11日、墜落現場に近い長野県山ノ内町の横手山・渋峠スキー場付近には吾妻広域消防本部や県警、自衛隊などの捜索隊160人が集結した。残された7人の救助に向かったが、山中に広がっていたのは機体の残骸が散乱する凄惨せいさんな光景。搭乗員全員が死亡する最悪の結末に、仲間を失った消防幹部は声を詰まらせた。

 捜索隊は11日午前5時15分ごろに出発。墜落現場の位置情報を頼りに最短ルートを進み、約1時間半後の同6時35分ごろに機体を確認した。墜落現場に向かう道は険しく、足元は雨で滑りやすかったという。斜面にあった機体と周囲の倒れそうな大木をロープで固定し、油圧カッターなどで解体した。

 救助隊に加わった吾妻広域消防本部西部消防署の黒岩賢一副署長(50)は「ローターもなく鉄の塊のよう。本当にこれがヘリなのかと思うほど原形をとどめている部分がほぼなく、すり切れていたり、へこんだりしていた。ジェット燃料の独特な臭いが漂っていた」と振り返った。「現場へ行った隊員には冷静になれとは言えなかった。自分のできることを率先してやってほしいと指示した」と声を詰まらせた。

 同日午前8時半ごろには、国土交通省の運輸安全委員会が派遣した航空事故調査官3人と県警捜査員らが墜落したヘリの事故原因などを調査するため入山。事故原因のほか、今後は位置情報が途絶えてから確認するまで約2時間かかった点など情報伝達が適切だったかについても調査する計画だという。県警も同日、墜落現場の実況見分を実施。詳しい事故原因を調べるとともに、業務上過失致死容疑での立件も視野に入れて調べる。

 現場から全員が搬送されたことを受け、吾妻広域消防本部が立ち上げた対策本部は解散した。小池信行消防長は「大事な仲間を失ったことは非常に痛ましい。二度とこのようなことが起こらないような体制づくりが必要と考えている」と力を込めた。

◎突然の別れに沈痛

 中之条町の山中から救助され、その後死亡が確認された県防災ヘリコプター「はるな」の搭乗者の遺体は11日までに、前橋や渋川など県内5署に搬送され、身元や死因の確認などが行われた。各署には連絡を受けた家族や知人らが訪れ、変わり果てた最愛の人との対面に大きなショックを受けていた。

 亡くなった県防災航空隊の岡朗大さん(38)の同僚男性2人は花束を持参。スキー仲間でもある岡さんとの突然の別れに、「現実を受け入れられない」と言葉少なだった。

◎「国と連携し原因究明を」 大沢知事

 事故を受けて、大沢正明知事は11日、東吾妻町の吾妻広域消防本部や捜索拠点となっていた長野県山ノ内町の渋峠ホテルなど3カ所を訪れた。

 拠点の一つであり、草津町にある同消防本部西部消防署で取材に応じた大沢知事は「ぐんま県境稜線トレイル」の確認中に事故が起きたことについて、「痛恨の極み。県の安全対策を背負っていくであろう方々がこのような形になってしまったことは残念でならない」と声を落とした。

 全国有数の山岳県としても知られる群馬県での安全確保に向けて、「これから問題が無いように対応していかなければならない」と強調した。事故原因については「国土交通省とも連携し、徹底した原因究明に努める」と述べた。

◎東邦航空が謝罪コメント

 運航を委託されていた東京都江東区の東邦航空は11日、ホームページに「多大なご迷惑をお掛けし申し訳ございません」とするコメントを掲載した。

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