虐待防止へ情報共有 児相と県警 全ての通報や相談
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虐待を疑い、自宅に立ち入る訓練をする児相と県警の職員ら

 児童虐待にいち早く気付き、子どもの安全を守ろうと、群馬県の児童相談所(児相)と県警は9月から、それぞれが受けた通報や相談を全て共有することを決めた。県内の児相が受理した通報、相談は増加を続け、昨年度は過去最多の1140件。3月には都内で両親から虐待を受けたとされる女児が死亡する事件もあり、連携を強化することで、迅速で的確な対応につなげる。

 大沢正明知事が24日、前橋市内で行われた県と県警の合同訓練を視察し、明らかにした。

 県児童福祉課と県警少年課によると、9月以降の相談・通報内容だけでなく、過去5年にさかのぼって情報を共有する。県と県警が2016年に結んだ協定では、必要に応じて情報を提供し合うことになっていた。全てのケースを共有することで、緊急性が低く軽微とみられる内容も両者で把握できるようになり、被害の見逃しを防ぐ狙いがある。

 児相への通報、相談は15年度に初めて千件を超え、昨年度まで9年連続で増加している。県警への相談も昨年は過去最多の240件となったものの、児相と県警で受理した件数には開きがある。

 全件共有の運用について、大沢知事は「連携を強め、子どもの安全確保を最優先にした対応を徹底する」と述べ、県警の松坂規生本部長は「全国的に痛ましい事件が増えている。事案の早期発見と安全確保に努めたい」とした。

 合同訓練は前橋市の県警察学校で行った。虐待の疑いがあり、子どもの安全を確認できない場合に児相が行う「臨検・捜索」の手順を確認した。

 市への通報を端緒に、児相が家庭訪問や立ち入り調査を試みたものの保護者がいずれも拒否。児相は子どもの一時保護が必要と判断し、裁判所の許可状を受けて強制的に自宅に立ち入るとの想定で取り組んだ。児相職員や警察官ら約20人が参加し、大沢知事と松坂本部長が視察した。

 児相と県警は「子どもの泣き声がするなど、少しでも不審なことがあれば、ためらわずに相談してほしい」と呼び掛けている。

◎児童虐待相談115件 3年連続で100件超 県内上半期

 県内で今年上半期(1~6月)に県警に寄せられた児童虐待の相談件数は、前年同期比5件減の115件だったことが24日までに、県警のまとめで分かった。社会的な関心が高まっていることなどを受け、2016年(上半期)の118件、17年(同)の120件に続き、3年連続で100件を超えた。

 少年課によると、相談の内訳は身体的虐待が43件で最多。次いで、心理的虐待23件、ネグレクト8件、性的虐待5件だった。相談のうち、36件は「虐待ではない」と判断された。

 虐待容疑などでの摘発者数は前年同期比2人増の26人で、実父13人、実母7人、養・継父5人などだった。このうち25人は身体的虐待による摘発だった。摘発事案の被害者は計26人で、中学生が10人と最も多かった。小学生5人、幼児6人、高校生4人と続いた。

 虐待の恐れがあるとして県警が児童相談所に通告したのは48件。虐待が疑われ、保護する必要があると判断された子どもは児童相談所が対応している。

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