赤城観光 一時代に幕 大沼山荘が8日閉館

 戦後間もなく赤城山の大沼湖畔で開業した旅館「大沼山荘」(群馬県前橋市富士見町)が8日、閉館する。ピーク時は登山や釣り、スキーなどを楽しむ客ら1日100人ほどを受け入れ、赤城の観光を支えてきた。近年は利用客が減り、70年余りの歴史に幕を下ろすことを決めた。切り盛りしてきた2代目おかみの塩原純子さん(79)は「もうすぐ80歳でいい節目。長年、皆さんに愛してもらい、感謝しかない」と満足そうに話す。

◎登山、釣り、スキー 開業70年余「節目」

 塩原さんによると、大沼山荘は終戦直後の1945年、義父の三郎さんが開いた。ワカサギ釣りや、当時まだ外国から伝わったばかりだったスキーを目当てに訪れる客を受け入れた。「連日満室というわけではなかった」(塩原さん)が、アットホームな雰囲気がファンを増やした。

 塩原さんは60年ほど前、結婚を機に山荘に携わるようになり、夫の義昭さんと共に人とのつながりを大切にした経営を続けてきた。2015年まで埼玉県の小学生の林間学校を42年間受け入れたり、今年37回を迎えた「あかぎ大沼・白樺マラソン」の立ち上げに尽力したり、山のにぎわいにも一役買った。

 三郎さんと義昭さんが亡くなってからは「名物おかみ」の塩原さんが中心となって山荘を切り盛りしてきた。しかし、経営は年々苦しくなり、今年7月、閉館を決めた。

 9月最初の週末、最後の宿泊客は27年来の付き合いになる東京工業大無線研究部OB有志だった。「来年も来るよ」「もうちょっとやりなよ」。優しい言葉は心に響いたが、「これが最後」と笑顔で見送った。

 大安の8日が店じまいだ。寂しさはなく「やり切ってほっとした、というのが今の思い」と塩原さん。山荘で行ってきたボートの貸し出しなどは、赤城山頂駅付近で観光施設を営む次男の勲さん(54)に託し、観光振興のボランティア活動に力を入れるという。

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