県、障害者雇用水増し 半数の169人
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◎「ガイドライン理解不足」

 中央省庁や地方自治体による障害者雇用率の水増しが相次いで発覚した問題で、群馬県は21日、昨年6月1日時点で障害者雇用数に計上した職員346人のうち、169人の障害者手帳や診断書が確認できなかったと発表した。346人とは別に8人が手帳を所持していたが、これを算入しても雇用率は県知事部局1.96%、県企業局0.81%、県教育委員会1.39%で、法定雇用率(県2.3%、県教委2.2%)を下回った。

 障害者手帳や指定医による診断書など厚生労働省のガイドライン(指針)が定める書類が確認できなかったのは、知事部局39人(報告した雇用数97人)、県教委125人(同229人)、企業局5人(同9人)。病院局は11人全員が確認できた。

 県人事課によると、内臓疾患や難聴、体が不自由といった自己申告などがあれば手帳を所持している場合と同様の事務処理が以前から行われていた。その理由を同課は「ガイドラインに対する理解が不十分だった」と釈明した。

 一方、昨年度に報告する対象だった障害者が知事部局で5人(身体3人、精神2人)、県教委で3人(身体2人、精神1人)いることが判明した。

 昨年度の雇用率は知事部局2.73%、企業局2.26%、県教委2.48%で、障害の程度や勤務形態を踏まえるといずれも法定雇用率を達成していた。再計算すると知事部局は16人、企業局は5人、県教委は93人が不足していた。

 問題を巡っては、多くの自治体が調査結果をすでに公表している。報道陣に対応が遅いと指摘された大沢正明知事は、「プライバシーの問題もあり、慎重の中でもスピード感を持つよう指示してきた。県教委を含め全て発表できる段階まで取り組んだため時間がかかった」と説明した。

◎当事者や家族、企業 憤り、不信広がる

 「がっかり。同時に憤りを感じる」。県身体障害者福祉団体連合会の杉田安啓会長(69)=高崎市=は県の調査結果を厳しい表情で受け止めた。県と連携し障害者の社会参加に取り組む立場。ショックは大きく、再発防止の徹底を求めた。

 障害のある子どもがいる西毛地域の50代女性は「言葉にならない。うそをつかれていたと感じる」と不信感をあらわにした。障害者雇用について「他人ごとでなく、理解し受け入れてくれる社会に変わってほしい」と訴えた。

 県は不適切な算定をした原因について「国のガイドラインへの理解不足があった」などと説明。障害者の就労支援に当たる社会福祉法人アルカディア(太田市)の中田駿理事長(71)は「ガイドラインの認識不足では済まされない問題。根本には、障害者への理解不足があるのではないか」と指摘した。

 県は障害者の採用に積極的な企業の表彰や登録制度を設けるなど、就労拡大の旗振り役の立場を取ってきた。登録制度に参加し、障害者14人を雇用するクリーニング業、第一ドライ(安中市)の堤一彦社長(66)は「県は障害者雇用に力を入れていたので、しっかりやっていると思っていた」と驚いた様子で話した。

 有識者には障害者雇用の在り方そのものを再考すべきだとする意見もある。群馬医療福祉大(前橋市)の新藤健太助教(障害者就労)は「法定雇用率といった数字を追い掛けるのではなく、本人の意欲を大事にして、健常者と分け隔てなく採用できる環境を整えるべきだ」と強調する。

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