高崎パスタの草分けに惜別 絶メシの名店「かもしか」
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営業を終えた「かもしか」の前に並ぶ(右から)岡野久男さん、菜穂子さん=3日

 「パスタの街」をアピールする群馬県高崎市で、1960年代にイタリアンを始めた草分けの流れをくむレストラン「かもしか」(同市飯塚町)が9月末で閉店した。市が個人経営の店に光を当てるグルメ情報サイト「絶メシリスト」に盛り込まれ、市内の美食家らに愛されたが、オーナーシェフが体調を崩し、継続を断念した。市民から惜しむ声が上がっている。

◎シェフの体調不良で 創業60年代、ファン「残念」

 オーナーシェフの岡野久男さん(65)によると、かもしかは62~63年ごろ、同市中心街の連雀町で真木昭さん(故人)が開業。当時珍しかったナポリタンやミートソースといったパスタ、ピザ、グラタンなどを提供し、人気を集めた。

 72年に店に入った岡野さんはシェフとして味を学んだ後、真木さんが店を辞めるタイミングで屋号と味を受け継ぎ、飯塚町で店を開いた。景気の影響で5年間店を閉じた後の2000年に、同じ町内の現在地に移って営業を再開。妻の菜穂子さん(56)と切り盛りしてきた。

 岡野さんは創業以来のメニューに加え、ビーフシチューやハンバーグといった独自の洋食の味に磨きをかけた。特にシチューは長年継ぎ足した黒いデミグラスソースが特徴。地元入りの際に来店した福田康夫元首相は、ビーフシチューがお気に入りでよく注文していたという。

 昨年11月に市の絶メシリストに載り、注目されるようになったが、今年8月に岡野さんの病気が判明。後継者はおらず、9月27日の営業を最後に閉店した。

 岡野さん夫妻は「閉店は苦渋の決断。体が回復し、また小さな店でもできるようになればいい」と話す。

 絶メシリストを運営する市の担当者は「ファンも多かっただけに残念」と受け止めている。市内のパスタ店が味を競うイベント「キングオブパスタ」を主催する実行委員会の青島真一会長(43)は「高崎パスタの元祖といわれる店がなくなるのは寂しいが、今後もパスタの街を盛り上げていきたい」と展望した。

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