県防災ヘリ墜落 雲中飛行で視界不良 数分前、右旋回2回 安全委分析
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 群馬県防災ヘリコプター「はるな」の墜落事故で、運輸安全委員会は23日、ヘリが墜落直前に雲の中を飛行し、視界が悪くなっていたとみられると明らかにした。墜落前の数分間で、速度を落としてUターンに近い右旋回を2回行っており、安全委は視界の良いルートを探していた可能性があるとみている。

 安全委は、搭乗していた消防隊員が身に着けるなどして機内に持ち込んでいたビデオカメラ3台の映像や動態管理システムの分析、当時の気象状況、目撃者への聞き取りで分かったと説明した。

 ヘリは8月10日午前9時15分ごろに、前橋市内のヘリポートを離陸。映像では、群馬・長野県境の渋峠の上空を通過した午前9時58分ごろから中之条町の山中に墜落するまでの数分間、周囲が白い様子が記録されており、雲の中を飛行していたとみられる。ヘリは、目視で地上の目標を確認して飛行する「有視界飛行」だったが、困難になった可能性がある。エンジンの作動音などが聞き取れるが、搭乗者の会話は確認できていないという。

 航空評論家の小林宏之さん(72)=千葉県佐倉市=は墜落直前の旋回について、「視界を確保しようとしていたのだろう。高度が低く木に接触してしまったのではないか」と推測。ぐんま県境稜線りょうせんトレイルの開通を翌日に控えた飛行だった点を踏まえ、「スケジュールに余裕があれば飛行を見合わせる天候でも、使命感で無理をしてしまった可能性がある」との見方を示した。

 ヘリは同トレイルの視察に向かい墜落。乗っていた県防災航空隊と吾妻広域消防本部の9人全員が死亡した。事故後に、国に事実と異なる飛行計画を提出していたことや、航空日誌の不搭載などの法令違反や違反の疑いが明らかになった。

 県は15日に機体を墜落現場から回収。安全管理体制の検証のため、有識者による委員会の初会合を18日に開いた。安全委や県警が事故原因を詳しく調べている。

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