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三山春秋

2017/06/23【三山春秋】 素足に下駄は心地よいものだが、なかなか履く機会がなくて少し寂しい気がする。日本一の…

 
 ▼素足に下駄げたは心地よいものだが、なかなか履く機会がなくて少し寂しい気がする。日本一の産地、広島県福山市の松永はきもの資料館によると、生活の洋式化が急速に進む昭和30年代以前、下駄は日本人の最も身近な履物だった

 ▼履物の歴史を研究する同市の市田京子さん(68)は「下駄は実用性よりも、おしゃれを楽しむ流行品として江戸時代に入って庶民に普及した」と話す。軽い桐(きり)下駄が珍重されるのは江戸末期からで、それまでは地域で手に入りやすい雑木製が主だったという

 ▼1783年の浅間山大噴火で泥流に埋まった農村跡「東宮遺跡」(長野原町)から見つかった74個の下駄も桐製は皆無でハンノキやクリが多かった

 ▼県埋蔵文化財調査事業団によると、消耗品の下駄がこれだけ大量に見つかるのは全国的にも珍しいという。同遺跡の下駄は他の出土品とともに県埋蔵文化財調査センター発掘情報館(渋川市)で9月まで公開されている

 ▼一つの材木から削りだした一木いちぼく下駄、凝った細工で歯を組みつけた差歯さしば下駄などデザインが多彩で漆塗りの高級品もある。足元の個性をアピールしあった村人たちの姿が目に浮かぶ

 ▼東宮遺跡は八ツ場ダムの水没予定地域に所在し、ダム湖の底に消える運命にある。タイムリミットまでに、江戸時代の村の暮らしを伝える新たな発見を期待したい。

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