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視点オピニオン21

南牧小の取り組みらすけじ 「村の魅力」を学び発信

聖徳大大学院教職研究科教授 西村佐二
 
 過日、東京銀座の時事通信ホールで行われた時事通信社「教育奨励賞」表彰式に出席した。今回29回目を迎えるこの賞は、都道府県教育委員会等の協力を得て、授業(保育)の革新、地域社会に根ざした教育で顕著な業績を挙げた学校(幼~高)に贈呈される。

 今回も全国から推薦された61校の中から第1次審査を経て優秀賞2校、特別賞1校、優良賞3校、努力賞25校が選ばれた。その受賞校一覧を見て、努力賞の中に南牧村立南牧小学校の「リーフレットで村の魅力発信」があるのに気が付きうれしくなった。

 時事通信社の『内外教育』(2014年11月25日号)は、南牧小の実践を詳しく報じている。それによると、10年度から、村の魅力を発信するため、5、6年生が村の文化や自然などを紹介したリーフレットを作製、修学旅行先の東京で配布する活動を続けているという。リーフレットは特産品や伝統行事、豊かな自然など、南牧村の魅力をイラストや地図、児童のメッセージなどで紹介。このリーフレットを銀座の「ぐんま総合情報センター(ぐんまちゃん家)」前で通行人に配布し、内容を説明した。児童の報告によると、「南牧に行ってみようかな」「リーフレットを自分で作るなんてすごい」といった感想があったという。

 南牧小では、地域を愛する心や主体的に生きる態度を育むため、3年から6年まで「総合的な学習の時間」を使い、各学年で設定したテーマに沿った学習を展開している。

 3年生は「南牧村の特産品や自然環境について学ぼう」をテーマに、村特産のコンニャクの栽培・製造や村に生息する野鳥について学習。4年生は「南牧の火とぼしを守ろう」をテーマに、400年前から続けられてきたお盆にわら束を燃やし、橋の上で回す村の伝統行事「火とぼし」について調べるという。

 「生きる力」を育むとして、各学校の教育課程に「総合的な学習の時間」が位置付けられて十数年が経過する。しかし、いまだにその趣旨に沿った実践が行われず、何を学習する時間か明確でない学校が散見される。そんな中、南牧小の取り組みは、地域や学校等の実態に応じた横断的・総合的な学習、子どもたちの興味・関心等に基づく創意工夫を生かした教育活動として、「総合的な学習の時間」の趣旨を見事に体現したものであり、今回の受賞に値する極めて優れた実践といえる。

 南牧村は過疎化が進み、人口が約2300人、そのうち高齢者が58%を占め、3校あった小学校も南牧小1校(全校児童28人)になったという。しかし、ふるさと南牧を愛し、地域の人と一緒に村の文化や自然を大切にし、それを実践的に学ぶ子どもたちがいることは南牧村にとって未来への明るい灯であるに違いない。南牧小の貴重な取り組みに大きな拍手を送りたい。



聖徳大大学院教職研究科教授 西村佐二 安中市秋間みのりが丘

 【略歴】滋賀県生まれ。元小学校教諭。都教委初等教育指導課長や中目黒小校長などを歴任し、全国連合小学校長会長を務めた。著書に『国語教育雑記帳』など。

2015/01/15掲載
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