全日本ボクシング優勝の星野萌が後悔覚悟の引退 進学で学業専念
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女子ジュニア・ライト級準決勝 長い腕を生かしてパンチを繰り出す館林女高の星野(左)。「ライオンの目つき」で一歩も引かなかった=10月19日、札幌市中央体育館

 女子ボクシング最高峰の全日本選手権(10月17~20日、北海道)のジュニア・ライト級で優勝した星野萌(群馬・館林女高3年)が、「後悔は覚悟の上」で引退を決断した。競技生活の集大成と位置付けて臨んだ同選手権は、最高の結果を手にしてリングを降りた。優勝の喜び以上に「先生と父が最後まで支えてくれた」と、感謝の気持ちに満たされた。

◎苦しんでつかんだ頂点 覚悟を決めて次の世界へ
 平たんな道のりではなかった。ジュニア・フェザー級で出場した高校1年時は3位。昨年は2位と順調に女王への階段を駆け上がったようにも見えるが、本人は「1年時から優勝する気持ち」だった。負けるたびに戦い方を見直し、近距離の打撃も磨いた。心が折れそうになりながら、きつい練習に耐えた。

 「事実上の決勝」と見られた準決勝。相手は2年前にジュニア・ライトウエルター級を制したサウスポー神麗愛(青森山田高3年)。大会2週間前の強化合宿で対戦した時は、170センチの長身と自慢のリーチを生かせず「距離を詰められ、まとめて打たれた」。直前に嫌な記憶を残していた。

 「逃げて終わりたくない」。普段はパンチを一発浴びてからスイッチが入るタイプだが、準決勝はリング下で「ライオンが獲物を狙う目つき」になった。リング上の出来事は「ほとんど覚えていない」が、急きょ会場入りした「ボクシングマニア」の父の言葉だけは忘れなかった。「右に回ると左ストレートがくる。回るなら左」。信じて必死に手を出し、4―1の判定で破った。

 敗れた神から「ありがとう、おめでとう」と声を掛けられ、涙が止まらなかった。場所は違うが同じ3年間を過ごした仲間。「ここで負けられない」。神の思いを背負って決勝を戦い、初めて頂に登り詰めた。

 「ジャパン」選出へ周囲の期待が一気に高まったが、引退の意志は固い。学業に専念し、スポーツマネジメントを学ぶために大学へ進学する。「ここでやめれば後悔することは分かっている。だけどもう決めたこと」。全国制覇を花道に、新たな一歩を踏み出す。

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