《部活が揺れる 長引く自粛》(1) 崩れた将来像 目標失い苦悩
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
インターハイのサッカー男子決勝が行われるはずだった正田醤油スタジアム群馬

 新型コロナウイルス感染症は、中高生から部活動の機会を奪っている。大会やコンクールがなくなり目標を見失う生徒、オンラインによる自主練習に励む生徒―。前代未聞の事態に、部活の意義や在り方を見つめ直す。

  ◇  ◇  ◇  

 「今後、どうしたらいいか分からない」。群馬県内の高校3年生で、強豪男子サッカー部の選手は頭を抱える。新型コロナウイルス感染症の影響で部活動は自粛され、出場を大きな目標にしていた全国高校総体(インターハイ)は史上初の中止になった。

 群馬県開催を予定していたサッカーは地元枠として2校が出場するはずだった。本大会へ出場して活躍すれば、プロや強豪大学のスカウトの目に留まるかもしれない。進路の行方を懸けていた。だが、4月下旬に中止が決定。将来像は崩れた。

 今は自宅で体を動かす毎日。職業の考え方も変化した。「このままではプロにはなれないかも。今は仕事ができない人もいる。何かあっても仕事のなくならない職業に就いた方がいいのか」。様変わりした日常で、心は揺れ動いている。

■スポーツ推薦
 大学側も対応に苦慮する。東京にある私大の名門陸上部監督によると、同大ではスポーツ推薦の条件に、全国大会の出場実績を含む。大会の中止が相次いでいることを受け、「特別措置を検討している」と明かす。中止となった今春の全国選抜大会などに出場が決まっていた場合は、実績として認める方針だ。同部も「記録の成績上位は、全国出場相当として推薦を認めてもらえないか大学に掛け合っている」という。

 進路決定について、サッカーJ2ザスパクサツ群馬の松本大樹強化本部長は「高校生の獲得時期を前倒しするJクラブがあるかもしれない」と指摘する。例年、夏の全国大会前はJクラブが獲得の内定を出す一つのタイミングだが、今年はそれが流動的になる可能性があるという。

■実績を重視
 部活の加入率が高い中学生への影響も大きい。県春季大会や全国中学校体育大会が中止され、夏の県中学総体は開催の可否が決まっていない。

 ソフトテニス部に所属する3年のある男子生徒は、県内の地区大会で優勝した経験を持つ。緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されてからはほとんど外に出ず、家で筋力トレーニングに取り組む程度。大会中止よりも「仲間と大好きなテニスができないのが何よりつらい」とこぼす。

 高校入試では多くの学校が部活の成果を評価対象とし、公立高の前期選抜で部活の実績を重視した「B選抜」の受験も少なくない。生徒の母親は「大会の結果によって進路を考えたい気持ちがあった。結果を出せる場がなく、どうやって決めたら…」と頭を悩ませる。高校、中学共に、代替する大会の具体的な案はまとまっていない。「きちんと練習できない中で試合をしても、子どもたちは納得いかないのではないか」。母親は代替開催を否定的に見ている。

 ※連載へのご意見やオンラインによる活動などの情報をお寄せ下さい。電子メールで上毛新聞部活取材班(bukatsu@raijin.com)へ。(取材源は秘匿します)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事