《NEWSインサイド》県内スポーツ 徐々に正常化 制限下で熱戦再び
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観戦は部員や保護者に限定して開幕した群馬県高校野球大会=18日、上毛新聞敷島球場

 新型コロナウイルスの感染予防で中止や延期が相次いだ群馬県内スポーツが、徐々に正常化に向かっている。プロ競技はサッカーのJ2ザスパクサツ群馬、野球の独立リーグBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスが11日から観客入りの公式戦を実施。18日に開幕した群馬県高校野球大会をはじめ、高校スポーツの代替大会も無観客ながら順次始まる。

■宣言解除で動き
 春以降、新型コロナの影響で多くの施設が閉鎖されるなど、スポーツ関係者にとっては練習や試合の会場確保が難しい状況が続いてきた。県内は3月ごろから各自治体の判断で、公有施設の利用制限や休館といった自粛が拡大。国の緊急事態宣言を踏まえ県が4月17日に出した休業要請では体育館や屋内外のプールなどが対象となった。5月25日に宣言が全面解除され、ようやく再開への動きが出始めた。

 屋内外の施設が集積するALSOKぐんま総合スポーツセンター(前橋市)は5月28日に弓道場やテニスコートなどを人数や時間の制限付きで利用可能とし、他施設も順次開館。8月1日から利用頻度の高いアリーナと武道館の開放を予定し、既に予約の受け付けを開始した。

 ただ、同施設を運営する群馬県スポーツ協会によると、大会に向けて相談に来る団体は少なくないが、開催にこぎ着けたケースは限られる。出場者全員の健康状態を把握して報告し、消毒液などの備品もそろえたりと人手や予算の面で負担が大きく、さらに競技団体ごとのガイドラインも満たす必要があるためという。

■ガイドライン
 各競技団体にとっては、競技拠点となる施設の開放に間に合うよう、試合の再開時期を設定することや大会運営のガイドラインを作ることも大きな課題だった。日本野球機構(NPB)とサッカーJリーグは連携して、医療専門家の助言を基にまとめた指針を策定したが、これが他競技からは指標になると注目された。

 NPBとJリーグの指針待ちとなった理由について、ある競技の日本協会は「年間公式戦数の多さ、資金力に加え、動員や危機管理のノウハウを蓄積している」と説明した。

 ガイドライン策定などを経て、プロ野球は6月19日、当初予定の3カ月遅れで公式戦を開幕。長期中断していたJリーグは2部と3部を同27日から、1部を今月4日から再開した。ともに無観客でスタートし、今月10日から5000人か施設収容人員50%のどちらか低い方を上限に観客の受け入れを開始。ザスパとペガサスも、11日のホーム戦から有観客試合にシフトした。

■長期中断
 前橋市の正田醤油スタジアム群馬で11日に行われたサッカーJ2、ザスパクサツ群馬のホーム戦は、雨天となる中で1065人が県内外から来場した。「サッカー観戦は生きがい」「画面越しで味わえない迫力」とサポーターは歓迎。入場前の検温や消毒を徹底、大声を出した応援は禁止するなど従来と異なる形式ながら大きな混乱はなかった。

 Jリーグは活動再開を8段階に分け、観客の収容制限がある公式戦は7段階目に当たる。ザスパの奈良知彦社長は「来場者の安全安心が最優先。体調が悪いときは来場を見合わせるなど、サポーター側の協力も欠かせない。制限撤廃は世の中が収まってからの話」と冷静に対応を進める。

 一方で、例年にない長期中断を挟み、過密化した日程は選手の負担という課題も残す。ザスパは11日にDF平尾壮選手、15日にDF渡辺広大主将が試合中にそれぞれ負傷し、全治6週間の骨折と診断された。

 5月末のチーム活動再開時、奥野僚右監督は「家にいた分、瞬発力の向上は必要。フィジカルを戻すだけでなく、さらに戦術を高める必要がある。ただ、(自粛で)対外試合ができないことがネック」と実戦不足に言及していた。

■競技感覚
 今月18、19日に正田醤油スタジアム群馬で県陸上選手権が開かれ、群馬県関係のトップ選手も顔をそろえた。男子円盤投げに出場した日本記録保持者の堤雄司さん(ALSOK群馬)は、練習拠点の東京都内の施設が閉鎖され、出身地の北海道も混乱があって「自宅で体を動かすしかなかった」と自粛中の苦労を明かした。

 調整の難しさは高校スポーツにも共通する。県内校は3月から5月末まで休校し、部活は6月12日まで自粛が続いた。多くの学校では、競技感覚を取り戻してけがを予防し、暑さに慣れるため、対外試合までに約1カ月の準備期間を設けた。

 今月18日に開幕した県高校野球大会も、負傷や体調不良に神経を使う。公式戦は昨秋から10カ月近くブランクがあり、球場の利用条件も普段と異なる。ベンチ入り選手を例年より5人増の25人としたのも、夏の甲子園がなくなった3年生への救済だけでなく、選手交代を容易にして個々の負担を軽減する狙いがある。

 8月から他競技の代替大会も始まるが、県高体連事務局は首都圏の感染拡大を懸念。県が設定する警戒度が2に引き上げられれば、各大会は中止となる。「県外移動を伴う関東大会や冬の選手権はさらにハードルが高い」としており、正常化を楽観視できない状況が続いている。(田中暁)

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