《NEWSインサイド》アーバンスポーツ 若者人気 地域に活力
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スケートボードを練習する子どもたち=昨年12月、高崎市のローラースケート場

 スケートボードやボルダリング、自転車競技のBMXといった都市型の「アーバンスポーツ」が、若い世代を中心に人気を集めている。東京五輪の新種目に3人制バスケットボールの3×3(スリー・エックス・スリー)などが加わったことも、競技人口増加の背景にある。群馬県は地域活性化や健康増進につながるとして、年度内の策定を目指す「県スポーツ推進計画」(2021~25年度)に、アーバンスポーツの活用を盛り込む方針だ。(飯島礼)

■ビジネスにも
 場所の制約が少なく、イベントを開催しやすいのがアーバンスポーツの利点とされる。3人制バスケは、通常のコートの半分以下の広さで行えるため、ゴールを設置すれば駐車場やショッピングモールなどでも気軽に大会やイベントを実施できる。

 県内では19年に富岡市の上州富岡駅前の駐車場でイベントが開かれたり、昨年は桐生大学グリーンアリーナ(みどり市)で小学生向けの県大会が開催されたりと普及の動きが進んでいる。

 みなかみ町を拠点とする3人制バスケチーム「MINAKAMI TOWN.EXE(ミナカミ・タウン・ドット・エグゼ)」はプロリーグ参戦に加え、県内各地で子ども向けの大会や技術指導会を開くなど、地域活性化にも力を入れる。

 同チームの選手兼オーナーの大塚俊さんは、アーバンスポーツは他競技と連携でき、音楽やファッション業界との親和性が高いとして、「試合の合間にBMXのショーをするなど多様なイベントの在り方を提案でき、ビジネスチャンスは大いにある」と期待する。

■普及を後押し
 県が策定中の新たなスポーツ推進計画は、年齢や性別、障害の有無を問わず、県民誰もがスポーツで自己実現を図り、活力ある地域をつくることを基本理念に掲げる。

 素案によると、(1)健康増進・生きがいづくり(2)共生社会の推進(3)活力ある地域創生(4)感動の創出と誇りの醸成―を政策目標とし、25年度末までに県民の週1回のスポーツ実施率を53.6%(19年度比23.5ポイント増)に引き上げる。65歳以上の高齢者は67.7%(同27.6ポイント増)、女性は51%(同21.4ポイント増)を目指す。実現には日常におけるスポーツ機会の拡大が必要だ。

 アーバンスポーツについては、対戦型コンピューターゲームの勝敗を競う「eスポーツ」とともに、活力ある地域創生に役立てようとしている。県はイベントの開催支援や情報発信などを通じて、普及を後押しする考えだ。

◎練習場「圧倒的に不足」
 アーバンスポーツの一種のスケートボードは東京五輪の追加種目に採用されて以降、人気が徐々に高まってきた。昨年からの新型コロナウイルス感染拡大を受け、取り組む人はさらに増えているとみられる。

■2倍程度に
 「新技、出来るようになりました!」「ちょっとずつ上達していくのが楽しい」。昨春の緊急事態宣言下、そんなコメントとともにスケートボードの技を披露する動画が、会員制交流サイト(SNS)のインスタグラムで広がった。休校中の子どもたちを中心に「一人で手軽に遊べる」として注目された。

 海外工場が新型コロナの影響で製造を一時停止したこともあり、県内でも売り切れ店が続出。スケートボード専門店で、スクールも開く前橋市の「トリックスター」には、問い合わせが相次いだという。オーナーの坂林聡樹さんは「五輪の追加種目決定前と比べ、ボーダーの数は2倍程度になった。水泳や英会話のように習い事の選択肢にもなっている」と話す。

■迷惑行為も
 一方、県内には三つの公営施設を含め、スケートボードを練習できる施設が7カ所しかない。競技人口の増加に施設数やマナー教育が追いつかず、街中や利用が禁じられている公園、道などでの迷惑行為が散見される。住民からは「危ない」「うるさい」といった苦情が相次ぎ、通報されるケースもある。

 高崎スケートボード協会の増田啓士代表は「公園の多くはスケボーが禁止されていて、滑れる場所が圧倒的に足りない。だから禁止と知りながら、深夜に公園や駐車場などで滑っている人がいるのも事実」と現状を説明する。

 同協会は昨年、状況を少しでも改善しようと、2019年の台風19号で被災した同市吉井町のローラースケート場を活用し、スケートボードの練習施設として整備。市民に愛される施設にするため清掃活動や子ども向けの体験会を開いてきた。平日、休日を問わず、愛好者や親子連れが多く訪れ、需要の高さがうかがえる。

 太田市はストリートスポーツ専用施設の整備に向けて動きだし、昨年夏に実施設計を終えた。新型コロナの影響で事業の延期が決まったが、完成すれば県内最大規模となる。

 提言書をまとめるなど、計画作りに関わってきた同市ストリートスポーツ協会の小川智也会長は「建設は行政と市民が協働しなければ実現しないと痛感した。住民の理解を得るには丁寧な説明が重要。『やっちゃだめ』ではなく『ここならできる』を増やしていきたい」と話している。

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