凱旋パレード 3万人が祝福 全国Vの前橋育英高サッカー部
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市民に祝福され、パレードする前橋育英高イレブン=前橋市の中央通り商店街
ダルマに目を入れる飯島陸(手前)=前橋・中央イベント広場
前橋テルサで開かれた市民栄誉賞顕彰式で、山本龍市長(右)から顕彰状を受け取る山田監督

 「日本一おめでとう」「感動をありがとう」―。第96回全国高校サッカー選手権大会で初優勝した前橋育英高男子サッカー部をたたえるパレードが21日、前橋市の中心商店街で行われた。21度目の挑戦で悲願を達成したイレブンの勇姿を一目見ようと、子どもからお年寄りまで約3万人(同市発表)が集まった。

 山田耕介監督と田部井涼・前主将が乗ったオープンカーを先頭に、広瀬川に架かる比刀根橋ひとねばしを出発。ダンス部と吹奏楽部が華麗な演奏と踊りで花を添え、金メダルを首に掛けた選手27人は沿道からの声援に笑顔で手を振りながら約1キロを歩いた。

 パレード後に前橋テルサで山本龍市長が前橋市民栄誉賞を授与し、「くじけずにたゆまぬ努力を続けてきた結果。市民の励みになる」と述べた。山田監督は「これからも勇気と感動を与えられるようなチームづくりをしたい」と応じた。

 中央イベント広場で祝勝イベントを開き、愛称のタイガー軍団らしく黄色と黒のだるまに選手一人一人が目を入れた。田部井前主将は「これほど多くの方が応援してくれていたんだとあらためて実感した。感謝の言葉しかない」と感激した様子で話した。

◎大歓声で出迎え

 アーケードでのパレードには3万人の市民が詰めかけ、はにかみながら手を振る選手たちを大歓声で出迎えた。

 山田耕介監督と田部井涼前主将を先頭に、サッカー、ダンス、吹奏楽各部の約80人がゆっくりと行進し、沿道から拍手と祝福の声が響いた。カメラを向けたり、握手やサインを求める市民の列は約1キロの区間、途切れず続いた。

 録画した大会の映像を毎朝見ているという斉藤蓮生君(8)=中之条町=は、選手を一目見ようと一家5人で訪れた。母の美紀さん(35)も「自分の子どもが出ているかのように応援した。息子も育英に行けたらいいな」と憧れた。

 自作した「オメデトウ」の垂れ幕を店先に掲げた田口商店の田口順子さん(68)は「高校生の活躍も、商店街がこんなににぎわうのもうれしい」と笑顔だった。

 「皆さんがこんなに関心を寄せてくれて感謝。息子は試合には出られなかったけれど、育英で良かった」と、部員の保護者の矢野久乃さん(50)=栃木県下野市=らも目を赤くしてパレードを見守った。3年間、選手をカメラで追い続けた同高写真部の都丸尚輝さん(18)も「学校外でこんなに喜んでくれる人がいるとは」と感慨深そうだった。

 中央イベント広場には出店が並び、応援グッズのマフラータオル500枚が完売。上毛新聞社が提供した、選手の雄姿を紹介する報道写真の展示もにぎわった。

◎「優勝 ほっとした」 トークショーで監督、選手 振り返る

 前橋育英高男子サッカー部は、前橋市中心商店街で行われた優勝パレードに続き、前橋テルサで市民栄誉賞顕彰式とトークショーに臨んだ。集まった保護者やファンら約500人を前に、選手27人と山田耕介監督が激戦を振り返った。

 山田監督が「決勝は3度目。負けたらどうなるんだろう」という心境だったと明かすと、会場が笑いに包まれた。悲願の栄冠を手にした瞬間は「ほっとしたのが正直なところ」と話した。

 MF塩沢隼人前部長は、優勝を決めた決勝のゴールの瞬間を思い出せないほど興奮していたという。優勝を「最高の一言」と表現した。 大会中の負傷で2試合欠場し、決勝で復帰したMF田部井涼前主将は、負傷した3回戦の富山第一戦でFW飯島陸が決めたゴールが一番の思い出。「皆さんの応援に助けられた。ありがとうございました」と感謝し、温かい拍手を送られた。

 トークショーは選手と山田監督、草津温泉フットボールクラブ次期社長の奈良知彦氏がステージに登壇。司会者の質問に答える形で行われた。

《トークショー》応援への感謝 口々に

 前橋育英高男子サッカー部のトークショーで、山田耕介監督やイレブンは優勝の感動や応援への感謝を口々に語った。

―日本一の感想を。
 【山田監督】 勝たなければいけなかったので、ほっとしたのが正直なところ。昨年の決勝で完敗し、来年ここに戻ってリベンジしようと言っていた。その通りに(選手が)決勝まで来てくれたのがすごいと思う。

 【奈良知彦・草津温泉フットボールクラブ次期社長】 決勝は自分も埼玉スタジアムで応援していた。山田監督とは若い頃からライバルでもあり、サッカーを愛する者同士。何度も挑戦しながら諦めずに、自分の夢と生徒への責任を果たしてくれた。涙が出そうになった。

―パレードについて。
 【山田監督】 人が来ないのに手を振るのは大変。来なかったらどうするんだと思っていたが(会場笑)。たくさん集まっていただき、本当にありがとうございました。

―優勝やパレードの感想を。
 【MF田部井涼前主将】 実感が湧かなかったが、パレードやテレビ(放映)で湧いた。人が来るか心配だったが、いっぱい来てくれてうれしい。

 【FW高田光輝】 パレードは最高だった。人がかなりいたので、こんなにも集まってくれるんだと驚いた。

 【FW宮崎鴻】 多くの方に集まってもらい、うれしい気持ちでいっぱい。

―大会の思い出は。
 【田部井前主将】 富山第一戦で自分がけがをした時に、(FW)飯島(陸)がゴールを決めてくれたこと。感動した。

―決勝のゴールが決まった瞬間については。
 【MF塩沢隼人前部長】 覚えていないけれど、気付いたらスタンドの方へ行っていた。

―今後の目標は。
 【山田監督】 これから考えていく。でも(山本龍・前橋)市長の話を聞いていて七転び八起きなのだなと。負けても負けても、前を向いてこれからもやっていこうと思った。次(の代)も次(の代)も失敗はどうせする。失敗を失敗とせず、前を見て頑張りたい。

―今回の優勝で期待することは。
 【奈良氏】 (育英は)組織として守れる選手を育てている。他のチームも参考にし、群馬の高校がレベルアップしてほしい。

―最後に目標やあいさつを。
 【田部井前主将】 高校選抜に選ばれ、最終的にはプロにいきたい。大会中は応援に助けられた。ありがとうございました。

◎選手一人一人がだるまの目入れ

 午後4時すぎに中央イベント広場で行われた最後の行事「だるまの目入れ」は和やかな雰囲気で進み、壇上で選手一人一人が筆ペンで黄色と黒の“タイガーだるま”の右目を描き入れた。

 「好きなサッカー選手か女優を言う自己紹介」という司会者の依頼に、4人目のDF角田涼太朗が「石原さとみさん」と答えると会場は大盛り上がり。FW高田光輝が自己紹介だけして目を入れ忘れると選手たちがそろってツッコミを入れ、抜群の“連係”を見せた。

 最後に山田耕介監督が「本当に皆さまの応援が力になった」と感謝して目を完成させ、万歳三唱で喜びを分かち合った。


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