13年ぶり五輪マウンドの上野 「戻ってこれた」 今までのソフト人生ぶつけ戦う
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オーストラリア戦に先発した上野=福島県営あづま球場
日本-オーストラリア 3回、内藤が勝ち越し2ランを放つ=福島県営あづま球場(右)4回、藤田が2ランを放つ(中)5回、山本が2ランを放つ(左)
日本―オーストラリア 3回、勝ち越し2ランを放ち、ナインに迎えられる内藤(手前中央)n

 東京五輪ソフトボールは1次リーグが始まり、世界ランキング2位で北京五輪以来の金メダルを狙う日本は同8位のオーストラリアに8-1で五回コールドゲームとして勝ち、白星発進した。エース上野由岐子(ビックカメラ高崎)が4回1/3を1失点で7三振を奪う好投を披露。1-1の三回に内藤実穂(同)の2ランで勝ち越しに成功。四回に藤田倭(同)の2ランでリードを広げ、五回に山本優(同)の2ランで勝負を決めた。世界ランク1位の米国は同9位のイタリアを2-0で下し、同3位のカナダは同5位のメキシコに4-0で勝った。1次リーグは6チームが総当たりで争い、上位2チームが決勝へ、3、4位が3位決定戦へ進む。

 ▽1次リーグ

豪州(1敗)
10000―1
10232x―8
日本(1勝)


(五回規定によりコールドゲーム)
(豪)パーナビー、ステプトー-ツィツィクロニス
(日)上野、後藤-我妻、清原
▽本塁打 内藤、藤田、山本(以上日)

 2008年北京で金メダルを得て13年、4717日ぶりの五輪マウンドで上野が白星を飾った。当時の中高生だった選手たちとチームを組み、22日に39歳の誕生日を迎える大ベテランは「やっとこの舞台に戻ってこれた。今まで積み重ねてきたソフトボール人生を、しっかりぶつけて戦っていきたい」と感慨を込めた。

 初回は1死一塁から3連続四死球で押し出しと硬さがあった。チームはコロナ下で国際大会から2年近く離れ、宇津木監督は慎重な立ち上がりを要求。上野も「試合のわくわく感が大きすぎて、自分が興奮しすぎないよう、投げ急がないよう丁寧にいこうとなりすぎた」という。

 直後のタイムで、宇津木監督は「良さを出しましょう」と声掛け。上野も打者のデータにとらわれず自らの感じるままに投げ、なお1死満塁から後続を三振と内野ゴロで仕留めた。三回はアウト三つとも三振。内角にチェンジアップやドロップ系、外角一杯に直球と的を絞らせず、オーストラリアの強打を陰らせた。

 無観客開催に寂しさはある。壮絶な延長戦の末、米国に敗れた18年世界選手権決勝を振り返って「スタンドの『上野コール』にどれだけ背中を押され、感動したか。声援に応えられなかったふがいなさ、悔しさを忘れていない」とし、「やるべきことは変わらない。恩返ししたい」と誓った。

 宇津木監督は前日会見で「先発は当日決める」と熟考の姿勢を崩さなかった。代表選手晩年の戦歴、04年アテネの銅メダルを苦い教訓としてずっと心に刻んでいた。「1次リーグの一つ目は絶対に落とせない」と常々語った。アテネは、初戦のオーストラリア戦で逆転負けしたことが響いて試合数が増えた結果、ページシステムの3位決定戦でもオーストラリアに敗れて決勝を逃していた。

 因縁の再戦に自問自答は尽きなかったが、高校生の上野と出会って「日本は世界と戦える」と抱いた確信に最後は従った。同じ日立高崎(現ビックカメラ高崎)などでプレーし、引退後もチーム監督、そして代表監督として20年以上を共に歩む。「ずっと投げてくれてる、じゃない。投げていただいている」と最大の賛辞を贈った。(田中暁)

◎内藤、藤田、山本3発 群馬県勢が本塁打攻勢

 五輪初出場の県勢打撃陣が本塁打3発を含む8打点と日本の全得点を叩き出した。初回の山本の同点適時打に始まり、三回は内藤が勝ち越し2ラン、四回は藤田の2ランと原田の犠飛、五回は山本のサヨナラ2ラン。オーストラリアの左右2投手を粉砕した。

 宇津木監督が特に大きな喜びを示したのは投打「二刀流」の藤田の一発だった。「思い切っていけ」と送り出し、ホームイン後に熱烈ハグ。スイングがコンパクトになり、ミートも甘くなっていたという藤田をマンツーマン指導し、フォーム改善の成果で本来の得点力を取り戻した。

 藤田は「目の覚める一発を打てた。五輪が始まったんだな と感じられた」と宇津 木監督と山路コーチの助 言に感謝した。五輪を巡る情勢不安や負けられ ない重圧があったとし、「いろんな思いを持って、このグラウンドに立 てるのは幸せなこと」とかみしめた。

 上野と二枚看板の投球も期待される。この日は七回登板予定ながら、コールドで出番なし。「あしたの自分と向き合って仕上げていくことが大事。早くマウンドに立ってみたい」と前向きだ。(田中暁)

内藤、快勝導く大会第1号

 ○…内藤が大会第1号の勝ち越し2ランを放った。三回2死二塁からファールで粘り、甘く入った球を一閃(いっせん)。初回は山本優の単打で二塁から同点のホームを奪う好走もあり、初戦快勝のキーマンとなった。

 1点差の展開を考えて丁寧に四球を選んだ初回が奏功し、三回は「(相手の)ボールを見ることができている」とあまり緊張せず臨めたという。「自分のバッティングをして夢舞台でホームランを打てた。うれしい気持ちでいっぱい」とすがすがしかった。

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