剣士の師弟そろって快挙 最年少8段と最高位範士に 中田勝巳(前橋)、谷 勝彦(高崎)
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握手を交わす谷(左)と中田

 剣士の師弟がそろって快挙を成し遂げた。今月上旬に京都で行われた剣道の審査会で、群馬県警の中田勝巳(46)=前橋市=が八段に最年少で一発合格。高崎商高時代に剣道部監督として中田を指導し、昨年度まで渋川工高校長を務めた谷勝彦(60)=高崎市=は、最高位の「範士」の称号を得た。2人とも、互いの成果を自分のことのように喜んでいる。

◎初挑戦でクリア「信じられない」

 中田は審査前、本番を意識するあまり力んでいた。「体がうまく動かない」。剣士なら誰もが夢に思う最高段位だ。無理もなかった。
 直前に助言を求めた相手は恩師の谷だった。普段通りでいいとアドバイスを受け、気持ちが少し楽になった。

 2次審査の立ち合い1回目は、元全日本チャンピオンが相手。面を打ってきた相手に対し、「無意識に反応した」という返し胴を打った。「力みもよどみもなかった。心と体が一番いい状態」と師匠もうなずく内容だった。

 中田が参加した1日の審査は842人が受け、合格者はわずか4人。「七段に受かった後10年以上」「46歳以上」が条件で、中田は初挑戦だった。「合格は信じられない。夢の中にいるよう。周りの指導や組織の与えてくれる環境がなければ今の自分はない」と感謝する。

 現在、県警の技術職員として剣道や逮捕術などの指導に専念する立場にある。「谷先生に教わったことをできるだけ伝えたい」。大きな背中を追い続けた剣道人生は、まだまだ続く。

 なかだ・かつみ 
1971年7月生まれ。高崎市出身。高校3年時のインターハイは個人でベスト8。

◎新たなスタート「まだ先がある」

 範士の審査は、教士八段の中から毎年6~7人程度しか選ばれないひときわ狭き門だ。競技を始めてから半世紀以上かけて到達した境地に、谷は「八段は一つの夢。範士は夢のさらに夢。喜びはあるが、責任感を考えると身の引き締まる思い」と話す。

 段位が上がるたび、ゴールではなく新たなスタートと考えてきた。14年前に八段になってからも「どうすればこの段位にふさわしい剣道ができるかを常に考えてやってきた」。寒稽古や講習会などに参加し、技術や人間力を先輩剣士から吸収し続けた。範士は各都道府県連盟から推薦を受けた有資格者が書類で審査され、強さはもちろん人格や識見なども加味された。

 今回の合格も新たなスタートと位置付け、「まだ先がある。これから自分の剣道がどうなるのか。稽古がまた面白くなる」と、若者のように目を輝かせる。定年退職して以降、ほぼ毎日稽古やトレーニングに励んでいる。

 一方、教え子から八段合格者が出るのは中田が初めて。「彼の資質に巡り合えたのは幸せだった。自分のことと同じくらいうれしい」と優しい目になった。

 たに・かつひこ 
1957年7月生まれ。高崎市出身。全日本選抜八段優勝大会で優勝1度、準優勝2度。

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