支えに涙 新たな夢へ 市前橋の鈴木楓帆(かほ)陸上・走り幅跳び
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3本目の試技後、観客席を見上げる鈴木(左)=正田醤油スタジアム群馬

◎けが克服し関東大会出場

 思い切り跳躍したが、無情にもファウルを示す赤い旗が上がった。陸上の関東高校大会女子走り幅跳び。群馬・市前橋高の鈴木楓帆(かほ)は3本目の試技を終え、予選通過の可能性がないと分かると、グラウンドに深く頭を下げた。

 ようやくつかんだ最初で最後の関東の舞台。「思い切り楽しみたいと思っていた。でも最後、(ファウルになって)一番悔しい」と声を詰まらせた。3年間必死に努力してきたからこそ、あふれる涙を抑えられなかった。

 けがに苦しんだ高校生活だった。入学して間もなく両足ともに「リスフラン靱帯損傷」に見舞われた。足の甲の骨に隙間ができ、足を着くたび痛みが走った。走ることができず、グラウンドで練習するチームメートを見ながら体幹トレーニングや補強練習を地道に続けた。「やらずに後悔したくない」と、2年生の4月には手術を決意。走り幅跳びの練習を始められるようになったのは2年生の冬からだった。

 「早く治らないかなといつも思っていた。つらいときもあった」。それでも続けられたのは周りの支えがあったから。「腐らず頑張ろう」「ずっと待ってるよ」「一緒にピッチに立とう」。先生、家族、仲間、みんなの言葉がいつでも背中を押してくれた。「けがをしていた間はすごく長く感じた。でも終わってみたらあっという間。みんなにありがとうを伝えたい」。振り返ると再び涙がこみ上げた。

 「ユニフォームを着て、大会に出ている姿を見られてうれしい」と佐瀬景祐監督は教え子の元気な姿に目を細め、言葉を続けた。「(関東大会出場は)腐らず努力する姿を見ていた陸上の神様からのプレゼントだったのかも」

 関東出場を懸けた5月の県総体で、鈴木のランキングは20位前後。厳しい戦いだった。予選通過へ後がなくなった3本目の試技。あと一歩でファウルというタイミングで踏み切った鈴木を、9.5メートルの強い追い風が味方した。結果は5メートル65で全体の6位。ギリギリでつかんだ大舞台だった。

 陸上はここで一区切り。「佐瀬先生は生徒のことをすごい考えてくれている。先生みたいな教師になりたい」。これからは新たな夢に向かって再び走りだす。「まずは受験」。目を赤く腫らしながら見せた笑顔が、ひときわ輝いていた。
(桜井俊大)

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