前橋育英 終盤間際に逆転でV5 全国高校サッカー県大会決勝
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前橋育英―桐生第一 5年連続22度目の優勝を果たし喜ぶ前橋育英=正田醤油スタジアム群馬
前橋育英―桐生第一 後半14分、同点のPKを決め喜ぶ育英のFW室井(右)=正田醤油スタジアム群馬
ゴール前で懸命に守る桐一の選手(青)

 サッカーの第97回全国高校選手権群馬県大会は18日、前橋市の正田醤油スタジアム群馬で決勝が行われ、前橋育英が2―1で桐生第一に逆転勝利し、5年連続22度目の優勝を飾った。育英は12月30日に開幕する全国選手権(埼玉スタジアム2002ほか)に県代表として出場する。

  ▽決勝
 前橋育英 2(0―0)1 桐生第一
       (2―1)
 ▽得点者【前】室井2(後半14分、後半41分)【桐】中野(後半6分)


 前橋育英が執念で激戦を制した。後半6分、桐生第一はMF田中渉のコーナーキックをFW小沢謙登が折り返し、DF中野就斗主将が左足で押し込んで先制。育英は14分、DF山原康太郎のロングフィードから裏に抜け出したFW室井彗佑が倒されてPKを獲得。室井がゴール左隅に冷静に決めて同点に追い付いた。

 後半ロスタイムには、右サイドDF若月輝主将のクロスを室井が鋭く反転してシュートし、決勝ゴールを挙げた。

◎執念でライバル下す…前橋育英イレブン

 「日本一の次世代」という肩書がついて回った10カ月間だった。前橋育英は1期上が全国制覇を成し遂げたため、県内外から「打倒前育」と挑まれた。「一番プレッシャーがあったのは彼らだったでしょう」と山田耕介監督。勝負強さと全国への執念で重圧をはねのけ、ライバルを下した。

 中盤が厚い桐一に対し、育英は前半からDFラインの背後を狙うロングボールを多用してチャンスをつくった。後半立ち上がりに先制点を奪われ、1点を追い掛ける展開となったが「点は必ず取れる。攻撃陣を信じてプレーするだけだった」とMF秋山裕紀。焦らず、ピッチで声を掛け合った。

 育英サッカーの神髄は「泥臭さ」にある。球際で激しく寄せ、ボールを奪い取る。FW室井彗佑の2ゴールも貪欲にボールに食らい付いて生まれた。「チャンピオンではなく、チャレンジャーとして」。選手たちは胸に刻んでプレーしていた。

 決勝前までの桐一との対戦成績は2勝2敗1分けの五分だった。試合終了の笛が鳴り、倒れ込んだDF若月輝主将は「この試合に懸けていた。今年の桐一がいたからこそ、自分たちも手を抜けなかった」。ライバルの存在が、選手の力を引き出した。

 深紅の優勝旗を手にし、見据えるのは全国制覇だ。FW榎本樹は「連覇ではなく、自分たちにとっての『初優勝』を目指したい」と語った。先輩の背中を追い掛けていた、かつてのイレブンはもういない。タイガー軍団の新たな挑戦が始まる。

◎執念実る右足一閃劇勝弾…前橋育英・室井

 その右足でチームを全国に導いた。試合終了間際、前橋育英のFW室井彗佑が劇的な決勝ゴールを挙げた。今年は自分がヒーローに―。強い思いで走り続けた。

 後半ロスタイム、右サイドDF若月輝主将からのクロスだった。トラップがやや後ろにそれ、DFが詰め寄るも「最後は体を張ろうと思っていた」と、スライディングですぐにマイボールに。鋭く反転してゴールに突き刺し、歓喜の渦につつまれた。

 昨季の全国選手権では悔しさがあった。同世代のFW榎本樹やMF秋山裕紀が活躍する中、自身の出場は1試合のみ。「今年は絶対自分が得点を奪い、チームを勝利に導く」。シュート練習を増やし、切り返しやダッシュのトレーニングを積み重ねた。

 迎えた決勝戦。両チーム最多のシュート6本を放つなど勝利への執念を見せた。14分の同点ゴールも鋭いスピードでDFラインの裏に抜け出して得たPKから奪った。山田耕介監督は「神様に見えた」。

 目標はFW飯島陸が成し遂げた大会得点王だ。「周囲には2連覇と言われるが、自分たちの代で初優勝したい」。高校入学時から思い描いてきた「夢の舞台」での躍動を誓った。(稲村勇輝)

◎再三の好機 決めきれず…桐生第一

 昨年に続き前橋育英の高い壁が立ちはだかった。桐生第一は後半、サイドを起点に崩し、何度も決定機をつくったが、あと一歩及ばなかった。

 先制点はセットプレーだった。後半6分にこの試合初めてのコーナーキックを獲得。MF田中渉がファーサイドへ蹴り、FW小沢謙登がヘディングで折り返し。中で待っていたDF中野就斗が相手DFとGKの間に左足を伸ばして、ゴールへ押し込んだ。「スペースがあったので足を出した。気持ちで取ったゴール」と喜んだ。

 PKで同点に追い付かれた後も、小沢や途中交代のFW若月大和がシュートを放ちゴールに迫った。中村裕幸コーチは「うちのやりたいことはできた。あとはフィニッシュの部分。うちは決めきれず、相手は決めてきた」と唇をかんだ。

 今年からプリンスリーグ関東に昇格し、強豪と戦い戦術を磨いてきた。ポジションを固定せず、選手が流動的に入れ替わるシステムを採用。J1ベガルタ仙台に入団が内定している田中を起点に多彩な攻撃パターンで最後まで育英を苦しめた。

 「全国に行きたかった」と田中はうつむいた。5年ぶりの全国選手権出場を目指して戦い抜いた蒼き戦士。かなわなかった夢は、後輩がきっと成し遂げてくれるはずだ。(吉野友淳)

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