健大高崎 再試合制す センバツ出場3大会連続8強
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福井工大福井との再試合で圧勝して8強入りし、一塁側アルプススタンドへ笑顔であいさつに向かう健大高崎ナイン=甲子園
福井工大福井―健大高崎 4回裏健大2死満塁、山下が右越え本塁打を放つ=甲子園
福井工大福井―健大高崎 福井打線を3安打に抑えた健大の先発向井

 【甲子園=椛沢基史、佐藤秀樹、大橋周平】第89回選抜高校野球大会第9日は28日、兵庫県西宮市の甲子園球場で2回戦の再試合2試合が行われ、健大高崎は10―2で福井工大福井に圧勝し、準々決勝進出を決めた。初出場の第84回大会(2012年)から出場した3大会でいずれも8強入りした健大は、大会第10日の29日第3試合(午後1時半開始予定)で4強進出を目指して秀岳館(熊本)と対戦する。

 健大は初回1死三塁から山下航汰の適時打で先制。高山遼太郎、大越弘太郎、今井佑輔の3連打でさらに3点を加え、四回は今井の適時三塁打、大柿廉太郎のスクイズなどで一挙6点と畳み掛けた。

 山下は四回に今大会2本目となる満塁本塁打を放ち、史上2人目、2年生選手では初となる快挙を達成した。

 公式戦初先発、甲子園初出場の向井義紀は高速スライダーとチェンジアップで福井の強力打線をかわし、9回2失点(自責点0)で完投した。送り出した青柳博文監督も「向井がしっかりと投げてくれた」と好投をたたえた。

 一塁側アルプススタンドに生徒や保護者、学校関係者ら約300人が集まり、ナインの奮闘に声援を送った。県勢の引き分け再試合での勝利は第86回大会(14年)の桐生第一―広島新庄戦以来だった。

◎投打に躍動 福井工大福井に圧勝
 健大高崎が出場3大会(2012、15、17年)連続となる8強入りを決めた。甲子園球場で行われた選抜高校野球大会第9日、ナインは「史上初」の2試合連続再試合の大舞台で自在に駆け回り、山下航汰は記録に残るアーチを右翼席に架けた。伏兵の好投も光り、初の日本一に向けてチームはさらに勢いづいた。

 ▽2回戦 健大高崎―福井工大福井(13時20分、12000人)
福井工大福井(福井)
 000 000 002―2
 400 600 00×―10
健大高崎
(工)加藤、中田、氏家―島谷
(健)向井―大柿
▽本塁打 山下2号(4)(中田)

 健大は13安打10得点と初戦で爆発した打線が復調。初回にいずれも2年生の山下、大越、今井の適時打で4得点し、四回にも今井の適時打と大柿のスクイズ、山下の満塁弾で6点を挙げ突き放した。

 公式戦初先発の向井は高速スライダーとチェンジアップを決め球に、延長15回を戦った26日は16安打の福井工大福井打線を3安打に封じた。最終回に失策が絡んで2点を失ったが、11奪三振、自責点0の快投で完投勝利を飾った。

 福井は先発加藤が四回途中でノックアウト。打線が得点機に沈黙したのも痛かった。

◎機動力発揮 鮮やか先制
 小雨が降り続いた前回対戦から打って変わって晴れ模様。福井工大福井の先発はセットポジションで顔が三塁に向く右投手だ。試合前から機動力の印象付けも十分。これほど条件がそろって、健大高崎が仕掛けないはずがない。

 先制点は「当たっているやつを上位に」(生方啓介ヘッドコーチ)と打順を入れ替えた初回先頭、安里樹羅から。2球目を鋭く振り抜いてライト前へ運ぶと、さっそく揺さぶり。2球のけん制で癖を見抜き、小野寺大輝への2球目で「最高のスタート」を切って二盗を決めた。

 ゴロで三進すると、山下航汰は「体が開かないように調整してきた」というスイングで教科書通りにセンター返し。わずか8球、スピード感のある攻撃で先制すると、中軸から下位まで徹底してきた「低い弾道の打球」を意識し、好球必打を連発した。

 初回の4得点で主導権を握っても、気の緩みは見せない。安里が「(引き分けの)前回は4点先制したところで少し勝った気になってしまった」と話した反省点を、しっかり生かした。

 選手の集中ぶりがうかがえたのは四回、今井佑輔の三塁打で1点を加えた直後の1死三塁だ。打席の大柿廉太郎にはスクイズのサイン。大会初戦で犠打を2度失敗し、バント練習を志願した8番打者は「成果が出た」とうなずく絶妙な打球を転がした。

 機動力で崩して、復調した打撃と小技で仕留めた。焦りからか、1戦目の終盤目立った大振り解消にと、練習に取り入れた「スロースイング」も効果てきめん。生方ヘッドコーチは「駄目な姿を映像で見られたから、ポイントを押さえて修正できた」。健大が今春も甲子園8強に勝ち上がった。(椛沢基史)

◎向井 圧巻の投球 公式戦初完投11K
 背番号「13」がマウンドを守りきった。健大高崎の右腕、向井義紀は切れ味抜群の変化球を武器に9回3安打11奪三振、自責点0で公式戦初完投。青柳博文監督も「ここまで投げてくれるとは思っていなかった。感謝です」と脱帽した。

 投げたくて投げたくて、うずうずしていた。エース伊藤敦紀らが2試合で粘り強い投球を見せた中、今月の練習試合で不調だった向井はブルペンで肩を温めるだけ。チームの勝利が一番とはいえ、歯がゆかった。

 前日に先発を告げられた。これまで公式戦で任されたのは最長2イニングだったが、26日に200球近く投げた伊藤の疲労や決勝まで4連戦になることを考えて「少しでも自分が長く投げて後ろの負担を減らそう」と気合を入れた。

 圧巻の投球だった。130キロ前後の直球とほぼ同じ球速、軌道から鋭く横に滑るスライダーと、冬に磨きをかけた沈むチェンジアップで強打の福井工大福井打線に的を絞らせなかった。

 兵庫県出身で、自宅から甲子園球場までは自転車で通える距離。“四枚看板”の最後に登場した地元の球児に、聖地がほほ笑んだ。(佐藤秀樹)

◎今井が復活 2安打2打点 打撃フォーム修正
 「最悪」だった26日から中1日。1番から7番に打順を下げた健大高崎の今井佑輔が打撃フォームを修正し、2安打2打点と復活した。「打順は違うが自分の役割を果たすことができた」と笑顔を見せた。

 前回対戦では相手のエースに対して、タイミングは合っていた。「打てる」と思ったが、そこから歯車が狂った。打ち気にはやる余り、前のめりになってバットのヘッドが下がり、フライアウトや三振など7打数無安打に終わった。

 27日の練習で生方啓介ヘッドコーチらに指導を受け、ボールを引き付けて体の前で捉えるよう修正した。球種ではなくコースに狙いを定めて打席に立ち、初回は甘く入った初球のスライダーを逃さず三遊間を破り、四回は2ボールからストライクを取りにきた直球を左中間に運んだ。

 準々決勝の秀岳館(熊本)は好左腕がそろう。今井は「狙いを絞って大振りせずにつなぎたい。自分たち右打者が打つ」と血豆がつぶれてテーピングを巻いた左手に力を込めた。(佐藤秀樹)

◎投手層の厚さ見せる “四枚看板”存在感示す
 健大高崎、福井工大福井ともに打線を組み替え、甲子園初先発の投手を起用した再試合で、勝負を分けたのは投手層の厚みだった。青柳博文監督が「こういう場面に備えて育ててきた」と話した“四枚看板”が存在感を示した。

 サイド右腕の伊藤敦紀を想定していた福井打線は、上位から左バッターがずらり。前日は横手投げを打ち込んできたという。そこに情報がほとんどないであろう、右上手の向井義紀を先発起用。これがはまった。

 結果は向井の先発完投勝利でも、前回対戦で伊藤、小野大夏、竹本甲輝とつないだ結果が今回の再試合なのだから、4人の力が結集したと言っていい。向井も「後ろに力のある投手がいるから、最初から全力で投げられた」と持ち上げた。

 伊藤ら残る3投手が中2日で準々決勝に臨めるのも大きい。投手育成を担当し、福井打線を苦しめた高速スライダーを向井に薦めた葛原毅コーチは「140キロが投げられるよりも、試合に勝てる投手を育ててきた結果」と頬を緩めた。

◎山下2本目の満塁弾
 早実の清宮幸太郎ら大物スラッガーがそろい、今大会はまさに「打のセンバツ」。数多くの主役級を押しのけ、その中心に進み出る活躍だ。健大高崎の山下航汰が福井工大福井戦の四回に、大会2本目の満塁弾。同一大会で2本は史上2人目、2年生としては史上初となった。

 初回の先制打で良いイメージをつかんで臨んだ四回2死満塁、甘く入ったスライダーを逃さなかった。低い弾道の打球は「外野の頭を超えるかな、とは思ったけど、まさか入るとは」。一塁を蹴った直後に喜び勇んで小さくほえた。

 ホームランバッターで鳴らしたボーイズ時代は3年生の1年間だけで20本塁打。しかし高校入学後は打率こそ残したが、大会前まで通算7本塁打と思うようにいかず、今冬はフォームと肉体の改造に充てた。「少し太り気味だった」と筋力トレーニングを徹底し、入学時から10キロ減量。スイングは鋭く、50メートル6秒5と体の切れも良くなった。

 練習試合の1本も含めると満塁弾は3本目。次の秀岳館(熊本)は強力打線に加え、投手陣も盤石だが「自分が勝利に導きたい」と決定打を誓った。(椛沢基史)

◎高山2安打で活躍
 健大高崎の高山遼太郎が今大会初めて5番に座り、3打数2安打と活躍した。盗塁を決めるなど2試合で影を潜めていた機動力も発揮した。

 焦りがあったという26日の反省から、この日は引き付けて打つことを心掛けた。初回2死一塁から2球目の外角直球を左前にはじき返し、続く左翼線二塁打の間に一塁から本塁を突いた。四回は先頭打者として今度は右前に運び、一巡した打席で四球を選ぶと初球に盗塁を成功させた。

 高山兄弟の父は農大二高出身の元プロ選手で、古巣・広島でスカウトを務める健一さん。名プレーヤーのDNAを受け継ぐ2年生は「甲子園に来てから足も速くなった気がする。次もプレーを楽しみたい」と話した。

 《メモ》満塁本塁打 健大高崎の山下が再試合となった2回戦の福井工大福井戦で記録。今大会の幸地(秀岳館)以来、24人目(26度目)。1大会2本の満塁本塁打は第87回大会の松本(敦賀気比)以来、2人目。


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