センバツ 健大高崎4強ならず 秀岳館に2-9
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秀岳館(熊本)に敗れ、グラウンドにあいさつする湯浅主将(右)ら健大高崎ナイン=甲子園
秀岳館(熊本)―健大高崎 7回裏健大2死二塁、大柿の左前打で今井がかえり2点目=甲子園
秀岳館(熊本)―健大高崎 6回裏健大無死、小野寺が内野安打を放つ

 【甲子園=椛沢基史、佐藤秀樹、大橋周平】第89回選抜高校野球大会第10日は29日、兵庫県西宮市の甲子園球場で準々決勝が行われ、健大高崎は2―9で秀岳館(熊本)に敗れ、初出場した2012年以来となる4強入りはならなかった。

 健大高崎は初回の守備で2点本塁打を許し、流れを失った。三、四回の計5失点で中押しされ、九回にはさらに1点をダメ押しされた。打線は相手の左腕から8安打を放ったが、要所でつながりを欠いた。

 六回にバント内野安打で出塁した小野寺大輝が盗塁などで三塁に進み、捕逸の間に1点、七回にも大柿廉太郎の適時打で1点を返したが、その後は点差を詰められなかった。

 青柳博文監督は「体力、気力で負けてしまったかと思う。もう少し強気でいきたかった。全ての面で力不足」と敗因を分析。「夏に向けてまた鍛え上げてくる」と前を見据えた。

 一塁側アルプススタンドには生徒や保護者、学校関係者ら約250人の応援団が陣取り、試合終了まで声援を送り続けた。敗戦後は温かな拍手で迎え、奮闘のナインをねぎらった。

◎健大高崎 悲願は夏に
 5年ぶりの4強進出はかなわなかった。29日に甲子園球場で行われた選抜高校野球大会第10日。準々決勝に臨んだ健大高崎は秀岳館(熊本)に7点差をつけられて敗れた。悲願の全国制覇は夏まで持ち越しとなった。

 ▽準々決勝 健大高崎―秀岳館(13時22分、21000人)

秀岳館(熊本)
 201 401 001―9
 000 001 100―2
健大高崎

(秀)川端―幸地
(健)伊藤、竹本、小野―大柿
▽本塁打 木本1号(2)(伊藤)

 健大高崎は初回の攻防で相手に主導権を握られたのが痛かった。表の守備で2ランを浴び、裏の攻撃は無死二塁の好機をつぶして無得点。その後も次々と追加点を奪われ、反攻の流れをつくれなかった。

 六回は内野安打の小野寺が二盗などで三進し、捕逸の間に本塁生還。七回は今井の中前打と二盗で2死二塁とし、大柿の左前適時打でさらに1点を追加した。ただ8安打を放ったとはいえ、もう一押しに欠け、2得点にとどまった。

 3人が継投した投手陣は9失点と踏ん張り切れなかった。

◎地力の差 5盗塁生きず
 地区大会で結果を残した強豪がそろう、選抜大会のベスト8は胸を張っていい。ただ、この試合の後では表情が暗くなるのも無理はない。日本一はまだまだ遠い―。健大高崎の指導者も選手も、それを痛感したようだった。

 秀岳館の先発投手が、2回戦で148キロを記録した左の剛腕だったことは想定内。ナインは試合直前まで「打つ」ではなく、「当てる」に重点を置くノーステップ打法で打ち込んだ。塁に出れば揺さぶって“数的優位”をつくる。対策はできていた。

 計算外が二つ。まず相手の球が想像以上だった。直球に絞ったはずが、捉えられないどころか変化球を振らされ、「いつの間にか狙いと逆になっていた」(青柳博文監督)。

 そして足への対応。計8安打と走者は少なくなかったのに、けん制球は一つも無し。初回に先頭打者安打の安里樹羅は「どんなにリードを広くとっても、自分のペースで投げられてしまった」。盗塁五つを決めても相手の集中を乱せず、心理戦に持ち込めなかった。

 投手陣は破壊力だけでなく、柔軟性もある秀岳館打線に圧倒された。狙い球を絞って打ちにかかっていたかと思えば、追い込まれてからはノーステップで逆方向に流し打つ。先発したエース右腕の伊藤敦紀は「甘くないボールでも振り抜いてきた」と舌を巻いた。

 精神力も、地力も相手が上。その差を見せつけられた。もっとも、悪いことばかりではない。「日本一を狙えるチーム」。そのイメージを具体化できたことは、夏までの限られた時間で無駄のない心身の強化につながるはずだ。

 生方啓介ヘッドコーチも「あそこまでの打線をつくらないと優勝できない」と目標に掲げた。甲子園で負けるたび強くなってきた健大だ。必ず、ここからまた強くなる。(椛沢基史)

◎小野寺 足で得点呼ぶ
 好左腕にやられっぱなしだった健大高崎のチーム初得点は、小野寺大輝のひらめきから生まれた。7点を追う六回、先頭の第3打席で初球をプッシュバント。「本当はセカンドに捕らせたかった」という打球は遊撃前へ転がったが、俊足で内野安打とした。

 けん制はなくとも、投げるまで1.3秒のクイック投球と強肩捕手がそろう秀岳館バッテリー相手に走るのは容易ではない。しかし4球目できっちり二盗を決めると、一息つかせる前に畳み掛けた。

 山下航汰のゴロを遊撃手がさばいて一塁へ送った。すると、投げた直後に走りだし、三塁を陥れた。これがバッテリーの動揺を誘ったか、次打者への4球目が捕逸となり、ホームに駆け込んだ。セーフティーバントも二盗も、守備を出し抜く走塁も自分の判断。「普段から練習していることなので」。事もなげ、といった具合に振り返った。

 本盗を決めた2回戦と同様、健大らしい駆け引きと足で観衆を沸かせた。それでも「自分は打撃に期待されて起用されている」と3三振に反省しきり。浮かれるそぶりもなく、成長を自らに課す。

◎夏への希望 2年5人が躍動
 投打で秀岳館(熊本)に及ばなかった健大高崎だが、伸びしろはむしろ大きいだろう。この日、先発出場した2年生は秀岳館の1人に対して健大が5人。健大ファンを自認する敵将も「これからのチームなのでしょう」と可能性を認めた。

 相手バッテリーが試合前、5人の中でも特に要注意としたのが山下航汰だった。史上2人しか打っていない同一大会2本の満塁弾からすれば当然だが、山下は警戒された中で長短2安打と結果を残し、非凡さを示した。

 足自慢がそろう健大で最速を誇る今井佑輔も大一番で輝いた。前日まで盗塁はなかったが、七回に中前打、九回に四球で出塁するとすかさず二盗を決めた。惜しむらくは二つとも点差が開いていた終盤だったこと。「攻撃の起点として序盤に流れを呼べるようになりたい」と話した。

 高山遼太郎と大越弘太郎は好守備を見せた。右翼高山は三回に右中間の打球をスライディングキャッチし、二塁大越は六回に一、二塁間を抜けそうな打球を難なくさばいた。捕手大柿廉太郎は初回と四回の失点を振り返り、「声掛けが足りなかった。抑えなければいけないところで踏ん張れなかった」と守備の要としての至らなさを悔やみ、成長を誓った。

 昨年の甲子園春夏4強を相手に、手も足も出なかったわけではない。だからこそ、悔しい気持ちも強いはず。聖地でしか得られない経験を糧に5人がもう一皮むけた時、深紅の大旗がぐっと近づく。(佐藤秀樹)

◎待望の出番“守備固め”…湯浅主将
 待ちに待った出番は九回表の“守備固め”。健大高崎の湯浅大主将が二塁に入った。敗色濃厚の7点差。「正直、楽しかった」。ボールは飛んでこなかったが、2万人以上の大観衆が見守る「最高の場所」を味わった。

 選抜出場が決まって間もない、2月上旬のことだった。練習中のスライディングで右手首を骨折した。「どうしても甲子園に」との思いから早期回復が見込める手術を決断し、1週間後にボルトを入れた。

 通常なら6週間は安静にすべきところを3週間で復帰した。少しずつ練習を始めて間に合わせるはずだったが、計算通りとはいかなかった。手首の可動域が思った通りに広がらず、やっとボールを投げられるようになったのは、大会が開幕した後だった。

 本格的に打撃練習ができるようになったのも2回戦が終わってから。本当は落ち込んでいたが、「チームのためにできることを」と守備練習を手伝い、誰よりも声を出した。

 昨秋はチームトップの打率に8盗塁。うぬぼれではなく、責任を感じていた。敗戦後も「自分が一番迷惑を掛けた」と唇をかんだ。聖地で覚えた興奮と後悔を胸に、今夏の活躍を期した。(椛沢基史)

◎強力打線に真っ向勝負…3番手小野
 健大高崎の本格派右腕、小野大夏が七回から3番手で登板。変化球を織り交ぜながら、力のある直球で果敢に強力打線に立ち向かった。

 最初からアクセル全開でしっかり腕を振り、先頭打者への4球目で143キロを記録した。長打力がある3、4番にも臆することなく勝負。八回はフォークで、九回は3球で三振を奪って締めた。

 26日の2回戦(引き分け再試合)は六回途中から登板し、変化球が決まらずストライクを取りにいった直球を狙われた。この日もフォークが落ちきらなかったことを反省し「直球だけでなく、変化球も武器と言えるぐらいにならないといけない」と夏への課題を挙げた。

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