《センバツ》育英 初回失点重く8強ならず
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敗戦を喫し、引き上げる前橋育英ナイン=甲子園
前橋育英-報徳学園(兵庫) 2回から救援し、好投する育英の丸山
5回裏報徳無死、西垣の内野ゴロを一塁へ送球しアウトにする前橋育英の堀口

 【甲子園=本社取材班】第89回選抜高校野球大会第7日は26日、兵庫県西宮市の甲子園球場で2回戦3試合が行われ、前橋育英は0-4で報徳学園(兵庫)に敗れ、初の8強進出を逃した。
 
 初回に4失点を喫し、2回から継投したエース左腕の丸山和郁が7回無失点で反撃を待ったが、援護がなかった。

◎的絞れず4安打
 ▽2回戦 報徳学園-前橋育英(9時01分、30000人)
前橋育英
 000 000 000-0
 400 000 00×-4
報徳学園 (兵庫)
(前)根岸、丸山-戸部
(報)西垣-篠原

 前橋育英は相手右腕の投球に的を絞れず4安打、無得点に抑え込まれた。初回に失った4点を追い、得点圏までは走者を進めたが、かえせなかった。

 4回無死から黒沢が左前打で出塁し、2死後、二盗を決めたものの、後続が三振に倒れた。6回には四球で出た丸山、7回には敵失で出た皆川が二盗を狙ったが阻まれた。

 9回には敵失と飯島の四球で2死一、二塁と見せ場をつくったが得点できなかった。先発根岸は初回、内野安打や四死球でピンチを招き、2連打などで4点を奪われた。2回から救援の丸山は相手打線を散発4安打に封じた。

◎初回4失点 主導権握れず
 前橋育英の荒井直樹監督は、試合の入りの重要性を繰り返し強調していた。しかし初回に4点を挙げ、早々と主導権を握ったのは相手の報徳学園。狂った歯車を最後までかみ合わせることができず、育英の戦いは終わりを告げた。

 相手エース右腕の力量は十分に警戒していたはずだが、配球が想定外だった。140キロ台の速球対策を重ねてきた育英は120キロ前後の緩い変化球にタイミングを外され、空振りを量産した。飯島大夢主将は「直球を狙うはずなのに、変化球が多かった」と悔やむ。

 一方、初戦で21安打を放った報徳はセーフティーバントで意表を突いてきた。育英も2回以降は継投した丸山和郁が4安打に封じ、打線は変化球を見極めてカウントを稼いだが、時すでに遅し。主軸の戸部魁人は「もう少しイニングがあったら」と唇をかんだ。

 荒井監督は冬に鍛えた走塁に活路を求め、積極的に次の塁を狙うよう指示。初めて先頭の黒沢駿太が出塁した4回は、2死後に二盗を決めた。しかし後続のバットが119キロの外角スライダーを捉えられず、得点にはつながらなかった。

 6回には50メートル5秒9の丸山が、7回には左脚の負傷を押して出場した皆川喬涼が二盗を試みたが、報徳捕手の強肩に阻まれた。

 それでも、思い切りの良いスタートは戦意と諦めない姿勢を誇示した。目指す攻撃的な守備も、随所に表れた。荒井監督は「守りで流れが来ていると思ったが…。西垣(雅矢)君の変化球の精度が高かった」と潔く認めた。丸山が「レベルアップして戻ってくる」とナインの思いを代弁したように、この悔しい経験を夏への成長の糧にする。(和泉皓也)

◎丸山粘投、直球武器に7回無失点
 疲れはなかったと言えばうそになる。準備の時間も満足になかった。そんなマウンドでも、前橋育英の丸山和郁は逆転を信じて腕を振った。継投で巻き返した試合が多かった「秋みたいにって」。その気迫が報徳打線をねじ伏せた。

 OBも頼って左腕対策を重ねてきた相手が、手ぐすね引いて待ち構えていても関係ない。初戦同様、最速142キロの直球主体で攻めの一手。多少の制球難も気にせずテンポ良く投げ込み、何度も凡打を誘った。

 頭にあったのは開幕前のけがで離脱した秋のエース、吉沢悠。「今まで“1”を背負ってたやつの分までやってやる」。自分もその重みを知ったからこそ、勝ちだけにこだわった。先発して5回途中に足がつった初戦同様、スタミナに不安があってもブレーキは踏まない。8回が終わると右腕と左脚がつっていたが、「最後まで投げきるつもりだった」。

 結果は7回無四死球、無失点。好投にも勝たなければ意味がないとしか感じなかった。「もっとチームが一つにならないといけない」。すっかりエースらしくなった横顔で夏に戻ってくるべき聖地をにらんだ。(椛沢基史)

◎「攻撃的」守備に成果
 初回4失点がどうにも重く、打線は相手エースの落ちる球を見極められない。それでも前橋育英の反撃ムードが最後までしぼまなかったのは、堅守で食らい付いたから。昨秋9試合で12失策と完成度に課題を残した印象を、この試合の無失策で過去のものとした。

 「攻撃的」に流れを引き寄せたのは4回無死一塁。犠打の構えとみるや飯島大夢主将が猛烈なダッシュで圧力をかけ、2度目のバントを捕球後すぐさま二塁へ送球。この時に遊撃堀口優河が二塁に、二塁黒沢駿太が一塁にそれぞれ入る好連係で併殺を完成させた。

 7回の併殺も地元の報徳学園ファンが多いであろう、甲子園の観客をどよめかせた。1死一塁で内外野の間に落ちるかという飛球を中堅皆川喬涼が好捕し、走者が飛び出した一塁へ駆け抜けざまにジャンピングスロー。「球際(守備範囲の境目)を捕る練習が生きた」と実感を込めた。

 ノック前の10分間をイメージトレーニングに充てる「シャドー守備」を冬場、地道に繰り返したことがビックプレーを生んだと飯島主将はみる。「守備を中心にやってきた成果が出た」。この試合で足りなかったものも必ず埋められる。それが勝負の夏に生きる。

◎執念で好機拡大…急成長の2番・黒沢
 逆転を信じて、一塁まで全力で駆け抜けた。4点を追う9回1死、前橋育英の2番黒沢駿太は初球の129キロをはじき返した。打球は二塁手の正面に転がったが「気持ちがボールに伝わったんだと思います」。執念が敵失を誘い、最終回に最大の見せ場をつくった。

 巧みな小技と安定した二塁の守備を評価され、新チームからメンバー入りした。9番打者だった慶応(神奈川)との関東大会準々決勝では9回1死二塁からバントヒットを決め、悪送球を誘いサヨナラ勝ちに貢献した。

 この冬は打撃と走塁強化に励んだ。「最も成長した選手の1人」と荒井直樹監督も認め、本大会から打順は2番に。プレッシャーから不振に陥っても不思議ではなかったが、「打順は関係ない。自分の役割を果たす」と憧れの舞台で努力の成果を発揮した。

 だが、2回戦完封負けは到底満足できる結果ではない。高崎中央ボーイズ時代からコンビを組む堀口優河との二遊間も、まだまだ全国で見せたかった。黒沢は「レベルアップして夏に必ず戻ってくる」と誓った。(佐藤秀樹)

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