健大高崎も初戦快勝 センバツ1回戦 札幌第一に11-1
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札幌第一(北海道)―健大高崎 7回裏健大高崎2死、山下が右越えに満塁本塁打を放つ=甲子園
札幌第一(北海道)―健大高崎 8回裏健大高崎無死、代打上野が右翼ポール際に本塁打を放つ
札幌第一(北海道)―健大高崎 2回裏健大無死二、三塁、大越の右越え二塁打で生還し喜ぶ渡口(右)と高山=甲子園

 【甲子園=椛沢基史、大橋周平、和泉皓也】第89回選抜高校野球大会第3日は22日、兵庫県西宮市の甲子園球場で1回戦3試合が行われ、2年ぶり3度目の出場となった健大高崎は毎回安打の猛攻で札幌第一(北海道)を11―1で圧勝し、前橋育英に続いて2回戦に進出した。選抜大会に同時出場した群馬県勢2校が共に初戦を突破するのは第50回大会の桐生、前橋以来39年ぶり。

 健大高崎は二回に高山遼太郎と大越弘太郎の連続二塁打で2点を先制。この回さらに今井佑輔の適時打で1点を加えた。三回は山下航汰と渡口大成の連打や死球で1死満塁の好機をつくり、連続四死球で2得点して試合の主導権を握った。

 七回に山下の満塁本塁打、八回には上野健助の代打ソロ本塁打で試合を一方的にした。先発の伊藤敦紀は7回1失点の好投。継投した小野大夏、竹本甲輝が終盤を零封した。

 青柳博文監督は「本当に皆よく振ってくれて、びっくりした。冬場の打撃の強化で力が付いた。投手陣もよく投げてくれた」とたたえた。一塁側アルプススタンドには生徒や保護者ら約250人がバス6台で球場入りし、大声援を送った。

 8強進出を懸けた健大高崎の2回戦は第7日第3試合(26日午後2時開始予定)で、昨秋の東北大会を制した仙台育英(宮城)と、北信越大会優勝の福井工大福井の勝者と戦う。

◎健大高崎 16安打11点
 健大高崎がまた、初戦で無類の勝負強さを見せつけた。これで春夏合わせて6度目の甲子園はいずれも初戦を突破。22日は北海道王者の札幌第一を投・攻・守に“走”も含めた全ての面で圧倒し、初の日本一へ幸先いいスタートを切った。

 ▽1回戦 健大高崎―札幌第一(15時09分、5000人)
札幌第一(北海道)
 000001000―1
 03200051×―11
健大高崎
(札)冨樫、前田、管野―西村
(健)伊藤、小野、竹本―大柿
▽本塁打 山下1号(4)(前田)上野1号(1)(管野)

 健大高崎は本塁打2本を含む16安打11得点と打線が爆発。7回1失点と好投した先発のエース伊藤敦紀をはじめ3人が継投した投手陣は、打率が出場32校トップの札幌第一を3安打1失点に抑えた。

 二回、負傷の湯浅大に代わって先発起用された2年生大越弘太郎の2点適時二塁打で先制し、三回には連続押し出し。1点を返された直後の七回は安里樹羅の適時打と山下航汰の満塁弾で突き放し、大勢を決めた。

 札幌第一は先発の冨樫が三回途中でノックアウト。打線も序盤のチャンスを伊藤にかわされ、本塁が遠かった。

◎相手揺さぶる機動破壊
 札幌第一の監督もエース左腕も、試合前は「バッター勝負に徹する」「足は気にしすぎない」と言っていたが、始まってみれば初回の走者にけん制球を連発した。分かっていても、そう簡単に攻略できないのが健大高崎の「機動破壊」。だからこそ看板と呼ばれる。

 この回2死二塁の好機はつぶしたが、相手を崩すイメージは固まった。二回に敵失で出塁した先頭の渡口大成は、ベンチに指示されるまでもなく「走るふりや雰囲気で揺さぶって集中を乱そうと思った」。狙い通りに1人でけん制5球を引き出し、注意も引いた。

 こうなれば、すでに術中だ。続く高山遼太郎が「これを打てなかったら、渡口さんに申し訳ない」と振り返った好球を右中間二塁打に。無死二、三塁で回った大越弘太郎も甘く入った135キロを鋭く流し打ち、右翼手の頭を越した。

 2点を先制してなお無死二塁。2者連続三振を喫したところで、大越が隙を突く足技を見せた。塁上で配球を変化球と読み、捕球が乱れると思った瞬間にスタート。紙一重の三盗成功で落ち着きかけたバッテリーを再び揺さぶる。この好機を打撃好調の今井佑輔が見逃さず、「大越が引き寄せてくれた」ど真ん中の直球を捉えて三遊間を破り、2死からの3点目で主導権をがっちりつかんだ。

 相手のお株を奪うほど打ちまくった16安打の裏にはもちろん、冬場に重点を置いた打撃練習がある。そこに得意の走塁を絡めて相乗効果を生み出せるのが健大の強さだ。“走打”で殊勲の大越も「走塁でプレッシャーを掛けていくのが健大」と迷いない。次も、その次も全国屈指の強敵が相手だが、今のチームなら、と期待は膨らむ。(椛沢基史)

◎伊藤“魔球”さえる
 見慣れぬ軌道を描くボールは、バッターボックスから見ると“魔球”のように思えたかもしれない。健大高崎のサイド右腕、伊藤敦紀は昨秋108得点の強力打線を思うがままに手玉に取った。

 少し浮足立ち、初回の制球が定まらなかったのは緊張からか。めったにない死球に味方の失策も重なり、2死満塁。しかし「あそこで気持ちを強く持ち直せたのが良かった」。左の好打者に対して、苦手を打ち取るため今冬習得に取り組んできたチェンジアップで切り抜けると、尻上がりに調子を上げた。

 左打者の外に沈むチェンジアップに、右打者から逃げるスライダー。初めて三者凡退に打ち取った三回からは、チェンジアップよりわずかに速く、同じ変化をするワンシームが低めに決まり出し、手が付けられなくなった。

 強打の相手に7回1失点は十分、好投と言える。それでも本人は、四球の走者が唯一の失点につながった六回に「疲れが出た」と悔しげな表情。この上があるというから頼もしい。

◎山下・豪快弾…2年生4番大仕事
 2年生4番の山下航汰が初めての甲子園で大きな仕事をやってのけた。この日5打席目、終盤七回に右翼席へ放り込んだ満塁弾は「今までで1番飛んだホームラン」。札幌第一の戦意を折る4点を追加し、笑顔でダイヤモンドを駆け抜けた。

 高め狙いのチーム方針で、浮き上がったスライダーを見逃さず強振。自身も「完璧だった」とうなずく当たりがスタンドへ吸い込まれると、健大応援団が陣取る一塁側アルプスの熱気が最高潮に達した。

 冬場は打撃フォームを見直した。膝がつま先より前に出てしまう癖を修正したことで、バットが内側から出るようになりスイングスピードが増した。現地入りしてからも練習試合で満塁弾を打ったり、16日の甲子園練習で右翼席にアーチを架けたりと、成果が目に見えて表れてきた。

 「数は数えないので」と謙遜でもなく素朴に語るが、昨年末のキャンプでは1日2000本の素振りに加えて、自主練習でさらに振り込んだ。「2試合連続ホームランを狙いたい」と自信を深めて次戦を見据えている。(和泉皓也)

◎大越・巧打…背番号18が猛攻に「火」
 打撃が自分のセールスポイントと公言し、「長打を狙っていきたい」と意気込んでいた大越弘太郎は、序盤の好機を逃さなかった。左腕の登板が予想された札幌第一対策の要員として、先制2点適時二塁打を放つ有言実行の活躍。16安打11得点の猛攻に火をつけた。

 二回の初打席は敵失と右中間への二塁打で無死二、三塁と、絶好の場面で回ってきた。「ここで一本打たなければ」。気を引き締めてバッターボックスに入ると、緊張感をものともせず右方向へ流し打ち。伸びていく打球が、飛び付く右翼手の左手をかすめて芝の上を転がった。

 この日は乗りに乗っていた。機動力を売り物とするチームにあって、50メートル6秒6とスピードで抜きんでた存在ではない。それでも、1死後に迷わず三盗を成功させ、強心臓ぶりを見せつけた。

 対外試合が解禁された今月8日の練習試合でも満塁弾を含む2発をはじめ、三塁打にスクイズと大暴れした。「固め打ちが多いんで」と不敵に笑う背番号18が、次戦も見どころをつくってくれそうだ。

◎代打・上野も一発
 八回に代打の上野健助が、相手3番手右腕にソロを浴びせ、青柳博文監督の期待に応えた。

 「その時」に備え、ベンチ裏で振り込んでいたため準備は万端だった。角度ある投球に詰まらされた2球目のファウルを修正。タイミングを速めて4球目の高めをたたいた。「飛距離はあった。後は祈った」。打球は右翼へ高く上がり、ポール左のスタンドに吸い込まれた。

 黙々と練習する姿が指揮官の目に留まり、最後にベンチ入りが決まった努力家。あくまでも「チームの勝利が前提」とした上で「次も代打起用されれば、役割を果たしたい」と貢献を誓った。

◎走攻で活躍…今井
 故障の湯浅大主将に代わり、1番に入った2年生の今井佑輔が3安打1打点の活躍。五回には絶妙なセーフティーバントを決め、「機動力も絡められたのが良かった」と健大高崎のリードオフマンらしく話した。

 練習試合が解禁になった3月上旬からほとんどの試合で1番に入った。大会前最後の練習試合があった17日、葛原毅コーチからの打撃フォームのぎこちなさを指摘され、修正したところ開眼。打撃練習でヒット性の当たりが格段に増えた。

 50メートル5秒8はチーム一の俊足。「打てなければ足を使う機会もない。冬に打撃練習に力を入れた成果が出て良かった」と喜び、次戦で一層の活躍を思い描いている。

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