《白球の詩》絆支えに魂のプレー 尾瀬・下仁田・万場・長野原・萩原一貴主将
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3回裏2死一、二塁の場面で飛球を好捕する尾瀬・下仁田・万場・長野原の中堅・萩原主将

 「4番のおまえに任せる。思い切って振ってこい」。3点を追う四回表2死二塁、連合チームをけん引してきた主砲がベンチ全員の期待を背に打席に立った。「かっ飛ばせー、かずきー」。スタンドから見守る4校の生徒、保護者が心一つに声援を送った。

◎「4校連合」けん引
 昨秋から連合チームの主将となった。尾瀬でも指揮を執る角田大輔監督(26)が「人間性、リーダーシップ、プレーと全てにおいて一番信頼できる」と指名した。

 4校合同の練習はなく、土、日曜の練習試合で集まるのみ。当初はサインミスがあったり、捕球する際に譲り合ったり、コミュニケーション不足が露呈した。それでも中心となって試合後に課題を話し合い、LINE(ライン)で連絡を取ったりしながら各校でレベルアップに努めた。

 野球を始めたのは旧片品北小2年の時で、地元少年野球チームの監督に勧められたのがきっかけだった。本当はサッカーが好きだったが、野球が面白くなり、片品中でもプレーした。少年野球の先輩がいたこともあり、「地元の高校で勝ちたい」と尾瀬に進学。1年の夏からレギュラーの座をつかんだ。

 3年生が抜けた2年秋から部員不足で連合チームとなった。尾瀬は8人の選手がおり、今夏は1人加われば単独出場もできたが、「一緒に頑張ってきた仲間。4校で結果を残したい」と連合チームの道を選んだ。「自分のことは二の次。いつも笑顔でまとめてくれ、(萩原)一貴のおかげで、どこよりも絆が強いチームになった」(角田監督)。

 最後の夏。強豪の農大二が立ちはだかった。初回に3点を奪われたが、二回裏は三者凡退で切り抜け、三回裏は難しい飛球を連続でファインプレー。中堅の守備でチームを鼓舞し、四回表の攻撃へと流れを引き寄せた。

 「家族や多くの人に支えられ、グラウンドに立たせてもらっている。感謝を込めて思いっきり振ろう」。1ボール2ストライクからの4球目。外角へ変化していく球に体勢を崩しながらも食らい付き、左前に運んだ。二塁走者が生還し2点差。ベンチ、スタンドが一体となって沸いた。「連合チームらしいプレーがしたい」。打席に向かう前、あえて選んで握った下仁田のバットがもたらした適時打だった。

 農大二はその裏、3点を追加。六、七回にも1点ずつ加え、コールドゲームという現実を突き付けた。それでもシード校に一歩も引かず、最後まで「4校の絆」を見せつけた。

 「ありがとう」「頑張れよ」―。試合後、ベンチ裏で選手一人一人と握手しながら声を掛けた。思いがあふれ、選手たちを引っ張ってきた時の笑顔は消え、みるみる涙がこぼれた。

 最後に握手を交わした角田監督が目を赤くして言葉を掛けた。「苦しいこと、嫌なことがあったと思うけど、ここまで来たのは一貴がいたから。ありがとう。ナイスバッティング」(浜名大輔)

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