《高校野球 新時代》変わる指導法 監督と選手で信頼築く
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昨秋に創部以来初となる県4強入りを果たした渋川青翠。清水監督は「選手が伸び伸びしていた」と振り返る

 スポーツの現場で、体罰や暴言など指導者のパワーハラスメントが問題視されている。群馬県内の高校野球界でも昨年から今年にかけて、体罰によって現場を去った指導者がいた。かつて「熱血」と容認される風潮のあった指導方法も、一歩間違えば許されない時代。どんな指導で選手を導くべきか。

◎ドミニカで研修
 「チャレンジする気持ちを第一に考えて指導します」。渋川青翠の清水哲也監督は選手に明言している。萎縮しないよう、三振やエラーなどプレー上のミスは怒らない。自発的行動を尊重しようと、練習内容や調整方法の提案も一度は取り入れる。

 きっかけは、昨年1月に参加したドミニカ研修だった。大リーガーを多数輩出している国だ。指導力を高めようと自主的に参加し、1週間かけて小中学生らの練習を視察した。そこで目にしたのは、指導者の怒声が響かないグラウンドで伸び伸びとプレーする子どもたち。「指導者の顔色をうかがっている子なんていなかった。ミスを怒って選手が失敗を恐れたら、力を発揮できない」

 帰国後に指導法を見直すと、昨秋の関東大会県予選で創部以来初の4強入り。エースの宮下あつむは「ベンチの雰囲気が良かった。練習でも自分の意見を取り入れてもらい、成長できた部分がある」と振り返る。

 高校球児だった清水監督自身は厳しい指導で成長した実感があり、現在も試行錯誤中だ。一方で「理不尽に耐える力を身に付けるために厳しさが必要という意見には違和感がある」と疑問視する。社会全体でパワハラ禁止が進む。「今はむしろ、考える力や発言力を身に付けた方が良いように感じる」と語る。

◎プレー外は厳しく
 選手を尊重する指導に怒ることが必要ないわけではない。渋川青翠では「行動は素早く」「道具を大切にする」とルールを明文化し、破った場合は厳しく指導することもある。

 夏の甲子園を2013年に制した前橋育英の荒井直樹監督も野球の技術については怒らないが、「できることをしない、いい加減なことをしたときは叱る。何が良くて、何はだめなのか教えることは必要」と訴える。

 荒井監督が大切にしているのは選手との日ごろのコミュニケーション。短時間でも一人一人に話しかけ、野球ノートへのコメントは「ラブレター」だと思って心を込めて書く。「『よく見てるぞ』ということが選手に伝われば、信頼関係が生まれる。普段見ていない人が注意をしても、選手は受け入れないだろう」と考えている。

◇  ◇  ◇

 101回目の全国高校野球選手権群馬大会が6日、開幕する。新時代「令和」の高校野球とは―。球児、指導者が答えを探して歩み始める。

 (この連載は越谷奈都美が担当しました)

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