健大高崎 中京大中京に敗れ準V 明治神宮野球 高校の部
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表彰式で準優勝の賞状やカップを手に行進する健大高崎ナイン=東京・神宮球場
2回表健大2死二塁、橋本拳の一時勝ち越しとなる適時打でホームに帰る戸丸(左)と華麗な守備で打者をアウトにする健大の橋本脩
6回4失点ながら粘り強い投球を見せた健大の先発橋本拳(左)と7回途中から登板し、2回を無失点に抑えた長谷川

 【東京=田中暁、広沢達也、大橋周平、越谷奈都美】第50回明治神宮野球大会高校の部は20日、東京・神宮球場で決勝を行い、関東代表の健大高崎は東海代表の中京大中京(愛知)に3―4で敗れた。日本一に一歩及ばなかったものの、群馬県勢初の準優勝を果たした。

 健大高崎は1点を追う二回2死から、橋本脩生、戸丸秦吾、橋本拳汰の3連続安打で2点を奪って逆転。2点をリードされた後の四回は、木川玲と橋本脩の連打で1死一、三塁とし、戸丸の内野ゴロで1点を返した。六回は先頭の山本遼哉が四球を選び、木川が犠打で送って1死二塁の同点機を迎えたが、惜しくも後続を断たれた。

 投げては先発の橋本拳が6回4失点。立ち上がりに苦労したが、四回以降は落ち着いた投球を見せた。七回無死一、二塁から登板した3番手の長谷川秀は、右飛と併殺で危機を切り抜ける好救援。八回も3者凡退に抑え込み、最後まで逆転の望みをつないだ。

 青柳博文監督は「大会を通して選手の成長を感じられたが、相手とは点差以上に力の差があった。冬場にしっかり鍛えたい」とさらなる躍進を期した。

 ▽決勝
健大高崎(関東)
020 100 000―3
103 000 00×―4
中京大中京(東海・愛知)
(健)橋本拳、桜井、長谷川-戸丸
(中)松島、高橋宏-印出
(中京大中京は初優勝)


◎日本一まであと一歩 戦いは春の選抜へ
 決着は紙一重だった―。県勢初の優勝を懸けて20日に東京・神宮球場で行われた、野球の第50回明治神宮大会高校の部・決勝で関東代表の健大高崎は東海代表の中京大中京(愛知)に3―4で逃げ切りを許した。打撃戦から一転して中盤以降はゲームが動かず、序盤の1点差が明暗を分けた。だが準優勝の健闘で県勢の悲願、選抜大会の紫紺の優勝旗へ大きな期待を抱かせた。

 ○…健大高崎が競り負けた。1点を追う二回2死から左前打で出た橋本脩が二盗し、戸丸、橋本拳の連続適時打で勝ち越し。再逆転を許した直後の四回には木川、橋本脩の連打から戸丸の二ゴロで1点返したが、以降は1安打にとどまった。

 先発橋本拳は三回に連打でピンチを招き、失策と中軸の長短打で3点献上して6回計4失点。3番手長谷川は走者を出さなかった。

◎「日本一」争い 投手陣が成長
 新チーム結成当初に掲げた「日本一」の目標は、春までお預けとなった。健大高崎の決勝の相手は投打ともに前評判の高かった中京大中京。前半は7安打3得点で食らいついたが、六回から登板した140キロ台後半の速球を持つエース、高橋宏斗には無安打。青柳博文監督は「点差以上に力の差を感じた。まだ力不足」と振り返った。

 好投手に苦戦する中、守備の乱れが痛かった。初回先頭打者を中前打で出すと、二盗とバッテリーミスで1失点。三回も失策が絡んで3点を失った。戸丸秦吾主将は「ミスで負けた。冬のうちに確実性を上げないと」と唇をかんだ。

 準決勝までの3試合で8盗塁の積極性は、決勝でも健在だった。二回2死から左前打で出塁した橋本脩生が「接戦は足で揺さぶれば、心理的に優位に立てる」と二盗。直後の球を仕留めた戸丸主将の適時二塁打で同点とし、続く橋本拳汰も1ボールから勝ち越し打を放った。

 夏の群馬大会初戦敗退に始まり、秋の県予選3位から全国2位まで駆け上がって得たものは大きい。関東大会から接戦続きで、今大会も延長タイブレークが2試合、九回での1点差の勝ち負けが1試合ずつ。青柳監督は「逆境でも最後まで諦めない姿勢が出てきた」と手応えを口にした。2試合完投の主戦左腕下慎之介や2試合先発の橋本拳ら投手陣の成長は著しかった。

 表彰式で準優勝カップを手にした下は「ここまで戦えてうれしいけれど、(準の)1文字が多いな」とぽつり。確かな自信と、あと一歩の悔しさを胸に「春と夏の2回、日本一になる」と宣言した。(越谷奈都美)

◎先発・橋本拳は粘りの投球 旧知の西村と対戦に燃える
 ○…健大高崎の先発橋本拳汰が旧知の好敵手との頂上決戦に燃えた。中京大中京の1番西村友哉は中学生硬式選抜「野茂ジャパン」で頼れる仲間だった。「野茂」以来バッテリーを組む味方の戸丸秦吾とともに、将来のライバルとして備えてきた相手といえた。

 初回から2打席連続で安打を許し、けん制で足を封じようとしたが、かいくぐられた。初回は先取点につながる二盗、三回はけん制ミスを誘われた。西村は「意識してきていると分かっていた。足でかき回せた」。今回は一枚上を行かれた。

 それでも西村の3打席目を3球三振に仕留めるなど、中盤は橋本拳が大会屈指の中京大中京打線を上回った。「自分の力はまだまだ。制球力が足りず、メンタルも課題。序盤で勢いに乗れなかった」と謙虚に敗戦と向き合い、冬の成長を誓った。

◎3番手の長谷川ピンチで好救援
 ○…健大高崎の「仕事人」がピンチで好救援を演じた。七回裏途中から3番手で登板した右腕、長谷川秀が2回無安打無失点。「昔からびびるような性格じゃない。いつも通りに投げられた」と涼しい顔だった。

 無死一、二塁で継投。1人目は強気に内角を攻めた後、113キロの外角球で右飛に打ち取り、2人目は低めのツーシームで狙い通り併殺に仕留めた。最速140キロ超の投手がチームにそろう中、「自分の持ち味はコントロールと動くボール。みんなとタイプは違うけど、球速も上げていきたい」と成長を誓った。

◎橋本脩が攻守に躍動 全4試合で15打数6安打
 全4試合で15打数6安打と健大高崎の6番橋本脩生の打棒が止まらなかった。決勝は中京大中京の二枚看板の1人、左腕松島元希から2打席連続安打を放ち、いずれも得点に絡んだ。五回の守りでは併殺の起点となるなど遊撃手としても要の働きをし、攻守のキーマンぶりが際立った。

 本格派対策でテークバックを小さく、バットの芯でコンパクトに捉えることを意識して臨んだ。正念場は中京大中京がエースナンバーを背負う高橋宏斗を送り出した六回。1死二塁の同点機に打席に入った。松島攻略で手応えがあり、大会ナンバーワンの呼び声高い投手も恐れなかった。

 ところが前の2打席と異なり、打ち上げて右飛に打ち取られた。「逆転のチャンスに人工芝特有のたたきつける打撃ができず悔しい。一球を仕留めなければ」と振り返った。

 ティーバッティングで振り込む力を鍛え、50メートル5秒8の足で要所の盗塁を決め続けている。近年は打力重視と見られる健大高崎だが、「『機動破壊』の考えは衰えていない。次を狙う姿勢は生きている」と断言する。

 思い入れが違う。2年半前の選抜甲子園2回戦、福井工大福井戦で九回に本盗を決めた小野寺大輝は中学生硬式クラブの先輩。憧れて健大高崎に進んだ。「0秒1の気の緩みが勝敗を分ける」と体感し、プレー精度の向上を冬の課題とする。来春、夢舞台で「小野寺の奇跡」を超えてみせるか。(田中暁)

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