選抜高校野球の中止 健大高崎、桐生第一の関係者ら 複雑な思い
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(写真上)玄関付近で行われた会見を終え、前を見つめる健大高崎の戸丸主将(左)と青柳監督=11日午後6時10分ごろ、健大高崎高、(写真下)選抜高校野球の中止の報告を受け、記者会見に臨む桐生第一の(右から)今泉監督、味戸校長、佐藤部長=11日午後6時15分ごろ、桐生第一高

 兵庫県西宮市の甲子園球場で19日から開催予定だった第92回選抜高校野球大会(センバツ大会)の中止が決まった11日、出場予定だった群馬県勢の健大高崎、桐生第一の地元などからは落胆の声が上がった。選手の努力を知るだけに、「無観客でもプレーさせたかった」との声もあったが、新型コロナウイルス感染症の影響で多くのイベントが中止になっていることもあり、決定に理解を示す意見も目立った。

《健大高崎》戸丸主将「気持ち追い付かず」
 昨秋の明治神宮大会で準優勝し、3年ぶり4度目のセンバツ出場を決めた健大高崎。無観客での開催方針という4日の発表を受けて準備を進めていただけに、無念の結果となった。

 戸丸秦吾主将(17)は「(中止発表に)気持ちが追い付かず、心と体が別々のような感じ」と悔しさをにじませながらも「もう一度『甲子園に出たい』という強い気持ちで、前を向いていきたい」と決意を新たにした。青柳博文監督(47)は「他の競技も中止が相次いでいるので仕方がない。(夏に向けて)気持ちを切り替えたい」と語った。

 甲子園で選手がプレーする姿を待ちわびていた関係者やOBからも、落胆の声や選手を後押しする声があった。同校野球部後援会長の倉持純晃さん(56)=富岡市=は「無観客でも、機動力を生かした健大の野球を見るのが楽しみだった。中止は残念だが、春や夏の県大会で全力プレーを見せてほしい」とエールを送った。

 2011年夏の選手権大会に出場した同校野球部OBの小池優太郎さん(26)は「選手はやるせない気持ちがあると思うが、仕切り直して努力を積み重ねてほしい」と期待を込めた。

 加藤陽彦校長(61)は「練習してきた選手のことを思うと残念な気持ちもあるが、高野連が安全を考えて判断したと思うのでしっかり受け止めたい。学校としては選手の健康面に配慮して、今後も支えていきたい」と述べた。

 高野連の判断を受け、富岡賢治高崎市長は「残念の一言。練習してきた選手たちが不憫ふびんだが仕方ない」とコメントした。

《桐生第一》今泉監督「選手思うと胸痛い」
 昨秋の関東大会で4強に入った桐生第一は、4年ぶり6度目のセンバツ出場となるはずだった。同校での会見で、今泉壮介監督(40)らはやりきれない思いを語った。

 就任2年目で母校を甲子園に導いた指揮官は「整理がつかない状態」と悲痛な表情。今冬の選手たちの様子を振り返り「甲子園でプレーすることを目標に、良い練習ができていた。今の気持ちを考えると胸が痛い」と声を振り絞った。

 佐藤秀太郎部長(37)は広瀬智也主将(2年)に電話で中止を伝え、広瀬主将の口数は少なかったが「しっかり切り替えます」と応えたという。

 味戸克之校長(59)は「非常に残念だが、今まで頑張ってきた野球部の選手たちには最大限の敬意を表したい。これで終わったわけではなく、夏にも大会はある。甲子園へ行けるよう、学校を挙げて野球部を応援したい」と語った。

 野球部OBは選手らの心情を推し量った。2000年夏の甲子園でベンチ入りした自営業の藤掛将之さん(37)=桐生市=は「落ち込むだろうが、夏もある。何とか切り替えてほしい」。OB会長の高島幸夫さん(49)=みどり市=は18年秋の監督交代を振り返り、「今の指導陣にとって初めてのセンバツだった。かわいそうだが、前を向いて」と奮起を促した。

 野球部後援会長の笹川尭さん(84)=東京都=は「青空の下でプレーする球児を見たかった」と悔しさをにじませた。荒木恵司桐生市長は「(選手は)無念のことと思う。悔しさをばねに、一層の飛躍を心から期待する」とコメントした。

◎「活躍見たかった…」/「仕方ない」 受け止めさまざま
 県勢の活躍を期待していた高校野球ファンらは中止決定をさまざまに受け止めた。

 前橋市笂井町で自治会活動に取り組む丸橋孝義さん(81)は「多くのイベントが中止になっている。仕方ないのではないか」と理解を示す。新型コロナウイルス感染症の影響で地元の行事も軒並み中止となっており、今後の見通しも不透明な状態。県勢の応援を長年続けてきており、「2校も出る予定だったので、本当にかわいそう。できればプレーさせてあげたかった」と思いを寄せた。

 みなかみ町の女性(48)は「(大会を)延期できなかったのだろうか。甲子園を目指してきた球児たちの気持ちを考えると残念でならない」と肩を落とす。中学生の子どもが硬式野球チームに所属しており、「甲子園に行って両校の活躍を見たいと思っていた」と残念がった。

 陸上で全国高校総体(インターハイ)に出場経験のある公務員、後藤力良さん(33)=渋川市=は「選手にとって全国大会出場は記憶に大きく残るもの。だが新型肺炎の影響を考えると大会を中止せざるを得なかったと思う。県内2校の活躍を楽しみにしていただけに残念だ」と話した。

◎「何らかの救済を」…県内高校野球識者
 選抜高校野球大会の中止決定に対し、上毛新聞で試合解説を担当する識者は、日本高野連の判断に理解を示しながら選手をおもんぱかった。

 前橋工などで監督を務めた高橋幸男さんは、甲子園に春夏通算5度出場している。自身が指揮を執った1995年の阪神大震災後の選抜大会も開催問題が紛糾したが「当時はいいゲームをして社会を勇気づけるムードだったが、今回は事情が違う。中止は仕方がない」と受け止めた。「時間は必要だと思うが、選手には夏を目指して切り替えてほしい」とエールを送った。

 「甲子園は大きな目標。生徒のために開催してほしかった」と残念がったのは、高崎商監督時に夏の甲子園に2度出場した林孝夫さん。「今の状況の中、中止は苦渋の決断だったのだろう。選手に対して何らかの救済措置があればいいが」と願った。

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