群馬県高野連が独自大会 来月18日開幕 67校61チーム参加へ
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トスバッティングを行う高崎商業高硬式野球部の選手=同校硬式野球場(アプリ「上毛新聞AR」をインストールしたスマホやタブレットをこの写真にかざすと動画を見ることができます)
 
 

 群馬県高野連は20日、前橋工業高で加盟校を集めた評議員会を開き、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった今夏の全国高校野球選手権群馬大会に代わる「2020年県高校野球大会」を開催することを決めた。会期は7月18日~8月10日で、トーナメント方式で67校61チームが優勝を争う。7月4日に各校の顧問が集まり、同校で組み合わせ抽選会を実施する。

◎ベンチ入り5人増、開会式せず原則無観客に
 大会は「高校野球部活動の総決算」と位置付け、公式戦として扱う。開会式は行わない。開催は、県指針に基づく4段階の警戒度1が維持されることなどが条件となる。

 日程は7月18、19日と23~26日、8月1~10日。今月13日の部活動再開から4週間以上空けることで十分な練習時間を確保できる上、7月11日に多くの高校で対外試合が解禁となる見通しであることを踏まえて決めた。

 特別規定として、ベンチ入りを例年より5人増やして25人とし、登録変更を毎試合可能にする。さらに、登録外の3年生はベンチ入りを認められ、出場はできないが、試合前の練習に参加できる。城田雅人理事長は「3年生の救済という意味合いが大きいほか、長期間の部活動休止によるけが、熱中症の予防といった目的がある」と説明した。

 日本高野連が示した新型コロナ感染拡大防止の指針に基づいて無観客試合となるが、ベンチ外部員はスタンドで観戦できる。また、3年生と登録選手の保護者を学校関係者と捉え、部員1人につき2人まで入れる。

 会場は上毛新聞敷島、高崎城南、桐生、前橋市民の4球場を予定。来場者の過度な接触を避けるため、1球場当たり1日2試合(第1試合午前9時、第2試合午後0時半の開始予定)にとどめるという。

 この他、決勝戦を含めて9回終了時に同点だった場合は、延長10回からタイブレーク制を採用。1週間500球の球数制限は当初の予定通り導入する。

 シード権は今春の関東地区大会県予選が取りやめとなったことから、昨秋の関東地区大会県予選でベスト8入りした学校に与える。選手の実戦経験が例年と比べて浅いことを考慮し、大会期間中の練習試合も許可する。

 中西信之会長は「多くの人の支えがあって、実現できた。選手の皆さんがこれまで取り組んできた日々の練習に対して自信と誇りを持ち、力いっぱいプレーしてくれることを期待している」と話した。

◎かけがえのない舞台へ一丸 高3選手や保護者らに晴れ舞台
 夏の全国高校野球選手権群馬大会に代わる県高校野球大会の実施が正式に決まった20日、最後の晴れ舞台を待ち望んでいた選手や保護者からは歓迎の声が相次いだ。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、夏の甲子園が戦後初めて中止となった異例の事態から1カ月。感染防止のため、試合は原則無観客となるが、競技に打ち込んできた選手たちにとってはかけがえのない舞台となる。

 甲子園出場経験を持つ高崎商業高硬式野球部では同日、堤悠輝監督(32)が選手に代替大会の決定を伝えた。「野球ができる喜びをかみしめてほしい。やるからには群馬で1番をとろう」と呼び掛けた。

 同部は新型コロナウイルスの影響で4月上旬から全体練習を中止。6月から隔日で1時間程度の練習を始め、14日にようやく全体練習を再開した。選手の試合感覚を取り戻すため、試合形式の練習を取り入れているという。

 小池瑛太主将(17)は「地方大会があると信じて気持ちを切らさず練習を続けてきた。みんなで一丸となって最後の夏を締めくくりたい」と力を込めた。

 長年、子どもが野球に打ち込む姿を見続けてきた保護者も代替大会を歓迎する。前橋工業高3年の坂田蓮さんの父、繁樹さん(40)=桐生市新里町新川=は「厳しい状況の中でも、大会を実施してもらえるのは良かった」と胸をなで下ろす。部活動が制限され、今年は観戦の機会も限られてきた。「本人たちはもちろん、親にとっても最後の夏を楽しみにしてきた。思い切り、伸び伸びプレーしてほしい」と期待した。

 大会は無観客で実施され、例年選手を支えてきた各校の応援団や吹奏楽部はスタンドには入れない。3月まで中央中等教育学校管弦楽部の部長だった井上紡さん(17)は「予想はしていたが、最後まで球場で見届けることができなくて残念」と肩を落とした。野球応援は高校生活で最後にトロンボーンを演奏する機会となるはずだった。「独自大会の実施は多くの人が動いた結果だと思う。選手には自分たちの分まで頑張ってほしい」とエールを送った。

 群馬大会に理学療法士を派遣し、試合後の選手のクールダウンに協力する群馬スポーツリハビリテーション研究会の宇賀大祐さん(31)は選手の体調を気遣う。大会までの準備期間は1カ月ほど。「体を段階的に暑さに慣らし、熱中症を防いでほしい」と話した。

◎「後輩に何か残す」「挑戦の場得た」 選手や監督
 県高野連が全国高校野球選手権群馬大会の代替大会開催を発表した20日、選手や監督に喜びが広がった。甲子園という目標を失い、代替となる県大会の開催も不透明だったが、練習の成果を発表する場が確保された。選手は「今度こそ優勝」「アピールしたい」とそれぞれの目標を胸に大会に臨む。

 「勝ち負けだけにこだわらず、後輩たちに何か残せる試合にしたい」。安中総合は3月初めから活動を自粛し、今月14日に全体練習を再開したばかり。片岡大空そら主将は吉報に笑顔を見せた。

 新チーム結成後、「甲子園出場」を目標に掲げた。聖地への道は途絶えたが、3年生はそれぞれの新たな目標を持って高校野球に区切りをつける。中学軟式でU-15(15歳以下)日本代表を経験したエース清水惇は「プロや大学関係者に持ち味をアピールしたい」と進路につなげる意気込みだ。

 昨年まで夏の群馬大会で4連覇していた前橋育英。昨秋の関東大会県予選は決勝で桐生第一に敗れて準優勝、春は中止となった。現チーム初の頂点へ、須永武志主将は「挑戦者として臨みたい」。

 代替大会は地区ごとに優勝を決める方式も想定されたが、県王者を決めるトーナメントに。須永主将は「まだ自分たちは2位にしかなっていない。挑戦する場を得たので、勝って5年連続優勝を」と力を込めた。

 3年生を救済する側面を持った代替大会は、選手登録が例年の群馬大会より5人増の25人。3年生部員は登録外でも試合中のベンチ入りが認められ、試合前のウオーミングアップやノックに参加できる。3年生が29人所属する桐生第一の今泉壮介監督は「試合には出られなくても、同じ空間にいて、一緒に戦えることが重要になる」と喜んだ。

 今大会は部員不足の8校が2チームに分かれた連合チームを結成する。毎年、他校と連合チームを組む四ツ葉中等の渋沢祐介監督は「喜ばしい気持ちでいっぱい」と歓迎する一方、他校への移動による感染拡大の影響を懸念する。学校によって校外移動の可否判断が異なるため、十分な練習時間を確保できない恐れがある。「集まる頻度、時間は少なくなるが、限られた範囲でやるしかない」と話した。

 藤沢郁哉主将は「冬の練習が終わってから一度も集まっていない。ずっと連合を組んでいた学校が一部入れ替わるなど、不安も多い」と胸中を語った。


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