《白球の詩》苦楽を共に 責任を全う 前橋東・梅野竜太主将
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9回表から途中出場した前橋東の梅野主将=桐生

 メガホンを片手に鼓舞し続け、同点打では両手を突き上げ喜んだ。九回から右翼手として今大会初めてグラウンドに立ったが、失策で得点を許してしまった。試合終了後、ベンチ前でうずくまり立ち上がれなかった。

◎仲間に応えチームけん引
 主将になるのは必然的だった。中学3年時に軟式の県選抜ダイヤモンドペガサスジュニアで主将を務め、全国大会で経験を積んだ。高校でも1年生強化試合「若駒杯」でチームをけん引した。統制力が支持され、投票により主将に選ばれた。だが、目指してきたレギュラー入りがかなわなかったことが引っ掛かっていた。負い目を感じながらの昨秋の中毛リーグで初優勝を果たし、チームは甲子園に向け士気を高めつつあった。「悩んでいる場合ではない」。皆の気持ちに応えようと決心した。

 ミーティングでは自分の考えだけを通さず、幅広く声を集める雰囲気をつくった。「主張するが引くこともできる。自分よりチーム第一」(小暮直哉監督)。最終的にチームのためになればそれでよかった。チームに欠かせない中心人物だが、仲間の存在も大きかった。同級の鹿沼亮介は「グラウンドでまとめる意識を持つ」と、同じ副主将の新井郁弥とともに信頼を寄せた。

 今大会ではレギュラーに次ぐ背番号10を付け、伝令役としてベンチで見守った。1回戦では窮地にマウンドへ駆け寄り「慌てずいつも通りに」と落ち着かせ勝利につなげた。

 この日の試合後、「足を引っ張ってしまった。ふがいなかった」と苦しい心の内を明かした。少年野球時代に監督だった父の武彦さん(51)からは「まだ、やることがあるぞ」と、最後まで主将の責任を果たすよう声を掛けられた。

 きょうの敗戦は多くの戦いの中の1試合にすぎない。チームに尽力してきた姿は、皆の心に強く残っている。鹿沼は「一緒に野球ができて幸せだった」と苦楽を共にした過去を振り返り涙した。小暮監督は「出場させたことに後悔はない。最後まで梅野のチームだった」と、第2の監督を全うしたことに感謝した。(田中憲一)

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