《決勝》健大高崎 九回2死から執念の2点 エース下 相手たたえ涙
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九回表健大高崎2死一、三塁、橋本脩が清水をかえす内野安打を放つ
六回裏1死満塁、12球を投げる気迫の投球で打者を三振に仕留め、2死のポーズをする健大高崎の下=上毛新聞敷島
試合開始直前、「14」が付いた福岡のユニホームを整える須田桃花記録員

 

▽決勝
健大高崎
 001 100 012―5
 020 004 00×―6
桐生第一


◎2本の内野安打 持ち味の機動力みせる
 健大高崎が3点を追う九回2死から、勝利への執念を見せた。

 戸丸秦吾主将が振り逃げで出塁。続く代打・安斎駿斗の二塁打で二、三塁に。1番山畑陸は「どんな形でもつなげたい」と打った球は二塁へ転がった。打球の行方には目もくれず懸命に走った。結果はセーフ。続く橋本脩生しゅいも投手へのゴロを内野安打とし、泥臭く2点を奪った。

 持ち味の足を使った機動力に加え、多彩な打撃で打ち勝つ野球を目指した。昨秋の明治神宮大会は群馬県勢初の準優勝。今大会準決勝では、宿敵前橋育英の投手陣に切れ目なく打ち込んで11得点し、一定の成果は出せた。

 ただ、六回の攻防は悔いが残る。表の攻撃は先頭を死球で出したが、次打者が併殺。逆に裏の守備は併殺に仕留めきれなかった。そこをきっかけに満塁とされ、本塁打を被弾した。戸丸主将は「あれで少し流れが相手に行ってしまった」と振り返った。

 準々決勝から要所で打点を記録した古滝友哉は「大事なところで一本が出ていない。取れるアウトをちゃんと取らないと」と修正点を口にした。(落合琢磨)

◎エースの自覚 最後まで…プロ注目の左腕・下
 健大高崎のエース左腕、下慎之介は六回、星野綜汰から満塁本塁打を浴びた。しかし、この1球を失投とは思わなかった。狙い通り、膝元に投じた、気持ちのこもったスライダーだった。試合後「星野君が何枚も上手だった。自分の実力不足」と目を赤くした。

 気の緩みはなかった。星野の前の打者、川端琉真から三振を奪うのに12球を要したが、気持ちは乗った。なお2死満塁で内野陣が集まり、「(明治)神宮大会で経験したような場面。長打だけはなしで、厳しく攻めよう」と確認し合った。

 そのため、星野の打席は初球から決め球のつもりで投げた。しかしその初球を、左翼席に運ばれた。「自分よりレベルの高い打者だった。本当にすごい」。悔しくても、言い訳はしなかった。

 1年の終わりまで球速120キロ台だった下は食事の量を増やして体をつくった。今では184センチの長身から140キロ超を投じる左腕としてプロの注目を集める。明治神宮大会準優勝に導いた昨秋は幾度も接戦を乗り越えて自信を付け、気迫を前面に出す投球スタイルを確立していった。

 なによりも、エースとしての自覚が強い。前チームまで継投策中心だった健大で、強豪相手にも完投できる主戦として存在感を示してきた。この日も「絶対最後までマウンドに立って優勝する。全員でマウンドに集まるとき、自分が中心にいるんだという気持ちで臨んだ」。試合後の止まらぬ涙に、強い責任感が現れた。(中里圭秀)

◎用具をベンチに 気持ちは一つ…準々決勝で骨折の福岡
 健大高崎の福岡勇人は6日の準々決勝の走塁時に左足を骨折し、決勝戦のベンチに入れなかった。チームは福岡のユニフォームとグラブをベンチに置き、気持ちを一つにした。

 福岡は選手登録した3試合全てで途中出場する「スーパーサブの存在」(青柳博文監督)。11日に手術を受ける予定。戸丸秦吾主将は「良い報告をして気持ちを楽にさせたかった」と悔しさをにじませた。

 16日の甲子園交流試合は観戦するという。戸丸主将は「『このチームで野球がしたい』と思ってもらえるように、健大らしい試合にする」。敗戦を乗り越え、力強くなった姿を見せるつもりだ。

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