《秋季関東高校野球》健大高崎が連覇 県勢では桐生以来65年ぶり
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秋季関東大会2連覇を果たした健大高崎ナイン。スタンドへのあいさつ後、笑顔で喜びを分かち合った=千葉県野球場
健大高崎―常総学院(茨城) 11回表健大無死、勝ち越しソロを放ち、ガッツポーズで一塁へ向かう堀江=千葉県
 

 高校野球の第73回秋季関東地区大会は1日、千葉市の千葉県野球場で決勝を行い、群馬県1位の健大高崎が延長十一回の激戦の末、9-7で常総学院(茨城2位)を下して大会2連覇を果たした。本県の同一校が連続優勝するのは1955年の桐生以来、65年ぶり。圧倒的な打撃力を誇る県王者が、無敗で秋の大会を締めくくった。

 準決勝までの3試合で6本塁打を繰り出した健大高崎打線が底力を発揮した。7-7の同点で迎えた延長十一回、先頭の堀江晃生が低めに来た直球を右翼席に運び、勝ち越し。2死で打席に入った4番小沢周平はソロ本塁打で9点目を挙げて、勝利を引き寄せた。

 先発野中駿哉は6回を8安打2失点と力投。継投した高松将斗は七回、4安打に2失策が絡んで5点失ったが、延長2回をいずれも三者凡退に抑え込んだ。

 試合後、青柳博文監督は「何とか昨年の先輩に追い付こうと思ってやってきた。選手たちには感謝しかない」と感無量だった。

 例年、関東大会で優勝すれば全国10地区の優勝校が争う明治神宮大会に出場するが、今年は新型コロナウイルスの感染予防のため10月に中止が決まった。

◎延長11回劇勝 常総学院に9-7
 再び関東の頂に立った。1日に千葉市の千葉県野球場で行われた高校野球の秋季関東地区大会の決勝は、本県1位の健大高崎が常総学院(茨城2位)との延長十一回の熱戦を9-7で制した。最後は土壇場で自慢の打撃力が火を噴いて、チームに優勝旗をもたらした。

▽決勝

健大高崎(群馬1位)
310 010 002 02―9
000 011 500 00―7
常総学院(茨城2位)
(延長十一回)


 ○…健大高崎が強打で接戦を制した。同点の延長十一回、先頭堀江の右越えソロで勝ち越し。2死から小沢の本塁打で加点した。2点を追う九回は伊藤、堀江、桜井の二塁打3本で試合を振り出しに戻した。

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◎土壇場で2ホームラン

 先発野中は六回まで8安打も2失点と力投。継投した高松は延長2回をいずれも三者凡退に抑えた。

 同点の延長十一回、先頭打者として打席に立った健大高崎の1番堀江晃生は常総学院の本格派右腕との対戦を楽しんでいた。「秋はこれが最後の公式戦。勝っても負けても悔いを残したくない」。迷わず振り抜いた直球は、歓声に乗って右翼席へ。勝ち越し弾に拳を突き上げた。

 2死後に打順が回ったのは4番小沢周平主将だ。はじいた白球はきれいな放物線を描いて右越えソロとなり、9点目を奪って差を広げた。これでチーム全体の本塁打は今大会8本。準決勝の5イニング連続に続き、決勝は1イニング2本。高い打力を象徴していた。

 ここまで打線が仕上がったのは、多くの時間を打撃練習に費やしたから。毎日の全体練習後、選手は自主的に居残り、打ち込みを繰り返してきた。日が暮れても終わる気配がなく、青柳博文監督が「時間を決めなければ、ずっとやっている」と明かすほとだ。

 周囲の支えもナインの背中を押した。夏を3年生で戦うと決め、5月に下級生の新チームが発足した後、主力以外の3年生が献身的に練習を手伝った。関東大会前には打撃投手を引き受けた部員もいる。二回に二塁打を放って追加点の足掛かりをつくった綱川真之佑は「試合を重ねて疲労がたまっていたが、先輩に恩返ししたい気持ちが強かった」と振り返った。

 目標の2連覇を果たし、来春の選抜大会に向かう。それでも青柳監督は「打撃はまだまだ」。さらに進化を遂げるため、冬を迎える。
(斎藤大希)

◎桜井5安打 打線をけん引

 関東屈指の安打製造機だ。健大高崎の3番桜井歩夢は自身最多の6打数5安打。投手が右から左へ代わっても、相手主戦が再登板しても止まらなかった。1点差の九回2死三塁、後のない場面で8球粘り、外角直球を右越えの適時二塁打に仕上げた。「次のバッターもいるんだぞ」というベンチの声に力みを抜き、得意とする逆方向への強い打球で応えた。

 今大会は全4試合で打率6割6分7厘(15打数10安打)をマーク。毎試合の計8打点と好機にも強かった。だが、準決勝までは微妙に差し込まれ、タイミングのずれに悩んでいた。決勝はステップ時の左足の上げ幅を抑え、視線のぶれを減らしたことが猛打につながった。

 「肩や肘が張っていただろうに、口に出さず打撃練習に付き合ってくれた仲間に応えたかった」と感謝した。この目配りこそ、成長の証しかもしれない。ごみが落ちていたらさっと拾うなど日常の意識から変えた。周囲の長打力を認め、単打でつなぎに徹するスタイルとも無関係ではない。

 中学生硬式クラブ「横浜南ボーイズ」(神奈川)から盟友の小沢周平主将に打撃の助言をもらったり、強くなるために気後れがない。青柳博文監督は低めの見極めとフルスイングの力強さで桜井を早くから評価してきたが、「下級生の頃に不足していた積極性が出てきた」と信頼を深める。

 歩みは、まだ止まらない。「目標は日本一。守備で失策や連係ミスがあった。『取れるアウトを確実に』を課題に、冬は鍛えたい」と夢へ一直線だ。(田中暁)

◎保護者や部員が拍手で後押し

 決勝の行われた千葉県野球場は、試合展開に合わせて熱気を帯びていった。新型コロナウイルス感染症対策で昨年の本県開催から一変して、吹奏楽や生徒の応援はなし。メガホンや千羽鶴など定番の応援用具も持ち込み禁止。それでも保護者や部員ら約90人が懸命に手拍子でプレーを盛り上げ、優勝の瞬間に喜びを分かち合った。

 健大は五回までに5点先行し、先発野中駿哉も6回2失点と常総学院の攻めを巧みにかわした。セーフティーバントで揺さぶられた三回は、得意のけん制で切り抜けるなど冷静さを失わなかった。父の克哉さん(53)=桐生市=は「仲間がしっかり守ってくれているので、周りが見えるのでしょう」とうなずいた。

 中盤に加点が鈍ると、応援の野球部員のとりまとめ役、横尾友都さん(2年)は「自分たちの流れで試合に入れた分、低めに手を出したり少し雑になってきた」と指摘。七回に逆転を許しても「浮き球を待って仕留められれば」と手を握り締めた。

 2点ビハインドで迎えた九回に1番堀江晃生と3番桜井歩夢の適時二塁打で同点に。桜井はこの試合初回から5打席連続安打の活躍で、父の匡浩さん(45)=横浜市=は「後ろに頼れる仲間がいる。欲を出さず、つなぐ意識でいこう」と話した。

 延長十一回に堀江と4番小沢周平主将のソロ本塁打が飛び出すとスタンドは最高潮。堀江の母、知美さん(51)=前橋市=は2月から入寮した効果に触れて、「3人兄弟の末っ子で甘えを心配していたが、仲間にもまれて成長した」という。小沢主将の母、司さん(46)=横浜市=は「なかなか貢献できず歯がゆい思いをしたが、仲間の信頼に支えられた。本人はようやく恩返しができた気分だと思う」と話した。

 野球部保護者会の吉田順会長(53)=富岡市=は健大が出場権を得ながら中止された今春の選抜甲子園に触れ、「新チームは先輩の思いを背負って始まった。事態が沈静化し、良い報告をできるよう願っている」と話した。

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