健大高崎がセンバツ初戦突破 山口・下関国際に6-2
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下関国際(山口)―健大高崎 1回表下関2死二塁、4番打者の守から三振を奪い雄たけびを上げる健大の先発高松=甲子園
下関国際(山口)―健大高崎 8回裏健大1死二塁、桜井をかえす右越え二塁打を放ち、塁上で笑顔を見せる小沢=甲子園
2回裏健大1死、中前打を放つ森川=甲子園

 【甲子園=広沢達也、斎藤大希】第93回選抜高校野球大会は19日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕した。1回戦3試合が行われ、2年連続5度目の選出(昨年大会は中止)となった健大高崎は6-2で下関国際(山口)を下し、2回戦に進出した。春の白星は8強入りした2017年大会以来4年ぶり。次戦は大会第6日の24日第3試合(午後2時20分開始予定)で宮崎商―天理(奈良)の勝者と対戦する。

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 健大は二回1死から森川倫太郎がチーム初安打を放ち、伊藤翔哉と高松将斗の適時二塁打で2点を先制した。八回は小沢周平と綱川真之佑の適時二塁打などで一挙4点を追加し、突き放した。

 投げては公式戦初先発の高松が2失点完投。初回から伸びのある130キロ台半ばの直球をテンポ良く投げ込み、スライダーやカーブを織り交ぜて被安打3、8奪三振と安定した投球を見せた。最終回は連打から失点したものの、冷静に投げきった。守備陣も無失策で盛り立てた。

 青柳博文監督は当初100球をめどに継投する方針だったとし、「高松は低めに球を集める丁寧な投球で気迫もあり、最後まで任せた。攻撃は八回の追加点が大きかった」と振り返った。

 昨年は新型コロナウイルス禍で選抜大会と、夏の全国選手権大会が中止。2年ぶりの春の舞台となった。簡素化された開会式は、この日の1回戦3試合に臨んだ6校だけが参加する異例の形になった。残りの26校は事前に撮影した行進の映像が大型ビジョンに映し出された。

▽1回戦 健大高崎―下関国際(15時42分、6000人)

下関国際(山口)
000000002─2
02000004×─6
健大高崎
(下)松尾、古賀―守
(健)高松―綱川


◎強力打線が終盤本領

 ○…健大高崎が下関国際の左右2投手を攻略した。二回は伊藤と高松の適時二塁打で2点を奪い、八回は小沢と綱川の適時二塁打などで4点追加と、要所の長打攻勢が光った。

 投げては先発高松が、3安打2四死球8三振と好内容で2失点完投。切れのある直球と変化球で緩急を付け、四回から八回までを5連続で三者凡退に抑えるなど力強かった。

◎堅い守備で流れ渡さず

 複数投手を擁し、継投策で中国大会決勝まで進んだ下関国際との一戦。大会前、健大高崎の青柳博文監督が「どの試合も楽に勝てない」と予想したとおり、序盤は両チームの守備が奮闘し、引き締まった展開となったが、最後は健大打線が勝負強さを発揮、4年ぶりの春の1勝をもぎ取った。

 「地に足を付けてやっていこう」。ナインは試合前に話し合ったことを徹底、主導権を奪いきれない緊迫した状況でも焦らず守備で着実に攻撃の芽を摘んだ。先制点を奪って迎えた三回には、2死二塁から外野に飛ばされたものの、左翼森川倫太郎が後方に下がりながら捕球。先発高松将斗をもり立て、無失点を続けた。

 捕手の綱川真之佑は左打者が振り遅れていることを冷静に分析。守備位置を細かく指示しながら、高松が冬に磨いた速球や2種類のスライダーでわざと左方向へ打たせて、狙い通りに遊撃や左翼などでアウトを重ねた。

 攻撃は八回に3番桜井歩夢が失策で出塁すると盗塁を試みて二塁へ。1死二塁の好機で打席に立った小沢周平主将は6球目を捉えて右翼フェンス直撃の二塁打で追加点を奪った。打線は勢いに乗り、「高松を楽にさせてたかった」と綱川の2点適時打で突き放した。

 健大高崎は初出場だった2011年夏から、甲子園初戦7戦全勝。歓迎すべき記録だが、青柳監督は「(打撃で)低めの見極めができていなかった。まだ1週間あるので、しっかり修正したい」と既に次戦を見据える。聖地での快進撃は、これからだ。

◎伊藤が鮮やか先制打

 7番打者の伊藤翔哉が甲子園初打席でチームを勢いづける先制の適時二塁打を放った。公式戦で初先発となった高松将斗の気迫を間近で感じ「(高松が)粘っていたのでどうにか打ってやろう」と奮起。甘く入ってきた直球を振り抜くと、打球はセンターの頭上を越えていった。チーム初安打で出塁していた森川倫太郎が本塁まで駆け抜けるのを確認すると、二塁で両手を高く突き上げた。

 好調は続く。相手の先発右腕降板後の四回、2番手の左腕からもセンターへの2打席連続安打。基本に忠実な打撃で攻撃を引っ張った。青柳博文監督は「うちに欠かせない選手。ここにくるまでに非常に努力した」と活躍に目を細めた。

 けがを乗り越えての甲子園の舞台。練習に励んでいた1月下旬、右足の靱帯(じんたい)を断裂。自由に動けない状態でも、大会に向けて椅子に座ってのティー打撃やキャッチボールを続けてきた。ギブスが外れてからは早朝に一人でバットを振り、感覚を取り戻すことを急いだ。たゆまぬ努力が大舞台で結実した。

 勝ち上がるにつれ、相手投手の失投も少なくなってくる。チームを勝利に導くには、好機を逃さないことが重要となってくる。「低めの変化球には手を出さないことを徹底していく」と力強かった。

◎高松堂々 初先発で8K

 初先発したエース高松将斗が初めての甲子園で堂々とした立ち回りをみせた。大きく縦に変化するスライダーを軸に、気迫のこもった直球も織り交ぜて被安打3の8奪三振。「完投することを目指してやってきた冬の成果だった」と晴れ晴れとした表情で語った。

 緩急を使った投球で、イニングごとに調子を上げた。四回から八回を打者3人で抑え、六回には2者連続で3球三振に仕留め、雄たけびを上げて喜ぶなど気迫十分だった。攻撃でも二回に適時二塁打を放つ活躍。攻守でチームをけん引した。

 強豪校に打ち勝った昨秋の関東大会以降、「強力打線の健大高崎」として評されることに対して、投手としてのプライドがあった。「打線ばかり取り上げられる悔しい気持ちがあった。その思いを練習に込めて冬を乗り越えてきた」と下半身を中心に鍛え抜き、完投する体力を培った。

 先発起用を伝えられたのは試合前日の18日。「一人で投げ抜く」という強い気持ちで整ったマウンドに上がった。青柳博文監督は「100球投げたら継投するつもりだった」と打ち明けたが、憧れの聖地で9回115球を投げ抜いた。

 九回に2失点を許し、完封を逃したことが心残り。「エースのピッチングにはまだ遠い。球が高めに浮いてしまったところを修正したい」とさらなる高みを見据えていた。

◎チーム初安打で緊張振り払う 森川

 ○…6番森川倫太郎が二回にチーム初安打を放ち、初戦の硬さを吹き飛ばした。6球目の直球を中前に運び「しっかり振り抜けたのが良かった」と振り返った。八回にも内野安打を放ち、ともに得点に絡んだ。

 昨秋、中軸で活躍した長距離砲はこの日、選球も冷静だった。ストライクゾーンに入ってくる初球に注意しつつ、高め狙いを徹底。甘い球に目を光らせた。

 「緊張より、楽しい気持ちの方が大きかった」。左打ちの強心臓は、初勝利をかみしめた。


《熱球解説・高橋幸男》制球力の重要性を実感

 昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で甲子園は春夏中止となり、2年ぶりの舞台。心待ちにしていたファンも多いのではないか。昨秋の健大高崎は全国屈指の長打力で関東王者になった。一方で勝ちパターンの継投と安定した守備の確立が春の課題と見ていた。

 公式戦初先発の主戦高松将斗君が素晴らしかった。初回1番に四球を出したが落ち着いて後続を断った。右打者への外角直球がよくコントロールされていた。ストライクを取る直球と追い込んでのスライダーを使い分け、緩急も付いていた。あらためて投手は制球力だなと実感させられた。

 最終回の2失点は、リードを広げた後なのを考慮すれば気に病む必要はない。下関国際打線は八回まで1安打。芯に当てられず、差し込まれてのフライが多かった。これほどの内容ではベンチも代えられない。9回で2四死球と安定し、今後の明るい材料になった。健大は継投のイメージが強いが、それを必要としないほどの出来だった。

 強いて挙げれば、カウントを取る変化球が時々高めに入っていた。先々で全国強豪と戦っていくと、相手はそこを逃がさず強振してくる。注意するポイントだろう。

 打撃面は走者を出して長打で得点と健大らしさがあった。二回に伊藤翔哉君と高松君、八回に小沢周平君と綱川真之佑君がそれぞれ適時二塁打を放った。特に八回は下関の守備の乱れもあり、そこを逃さなかった。

 健大の打者は全体的に構えがゆったりし、下半身を使ってタイミングもしっかり取れていた。スイングも振り切っていた。打球の速さは強烈で、野手はしっかりと握らないと弾かれる。八回の敵失時に下関の野手は緩い当たりならグラブの芯で捕球できる位置にいた。予測を上回る速さに失策を誘われたといえる。

 四、五回は併殺に倒れたが攻めた結果。好機で振っていくのが健大の目指す野球なんだと思う。初戦の硬さや長打を意識した力みが感じられ、やや体が開き気味の場面はあった。もう少しリラックスして打てるようになると、さらに楽しみになる。

 春は昼夜で寒暖の差があり、強風が吹いたりもする。2回戦まで日程が空き、体調管理は重要になってくる。気を付けて次も頑張ってほしい。

 たかはし・ゆきお 1949年5月生まれ。渋川市出身。早大卒。東京六大学野球で外野手としてベストナインに2度選出。73年から前橋工高などで監督を務め、甲子園に春夏5度導いた。

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