《白球の詩》大好きな仲間と最後の夏 過ごした日々は宝物 3校連合の嬬恋 萩原誠主将
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
前橋西・尾瀬・嬬恋―大間々 試合に敗れるも笑顔で仲間に駆け寄る萩原(右)

 試合後、仲間への思いを聞かれた瞬間、前橋西、尾瀬との連合チームを率いた嬬恋の萩原誠主将は言葉を詰まらせながら、声を絞り出した。「このチームでもう少し戦いたかった」。仲間と白球を追い掛けた日々が胸をよぎった。

 幼いころから二つ年上の兄、智弥さんの後を追って野球に明け暮れていた。その甲斐あってか、中学3年時には129キロを投げるまでになり、他校からの誘いも受けたが、兄が進んだ嬬恋を選んだ。

 当時から部員は少なく、金井昭洋監督からは「人数が少ない。もしかしたら満足できないかもしれない」と助言を受けた。だが「(兄たちと)一緒に野球ができればいい」と進学を決意。1年の夏は初戦で利根商に1点差で敗れたが、兄と一緒に野球をできたことがうれしかった。

 チームはその後、部員不足に。昨秋からは連合チームを組み、小学生の頃から同じチームの佐藤龍玖とともに主将として引っ張った。「連合っていう感覚はなくて、まとまったチーム。守備の声掛けもできている」。メンバーとも打ち解け、チームを好きになった。

 しかし、昨夏に右肩を手術。投球制限もあり、今春は投げることができなかった。走り込みなど、夏に向けてできることをやり尽くした。

 迎えた最後の夏。1年ぶりに公式戦のマウンドに上がった。最速136キロの直球にスライダーとカーブもさえ、四回まで打者3人で終わらせた。五回に失点したが、笑顔を絶やさなかった。しかし六回、先頭に四球を与えると、顔をゆがめた。腕が思うように振れなくなった。「頼むぞ」。悔しさももちろんあったが、信頼する佐藤にマウンドを託した。

 ショートに回ってからも仲間を励まし続けた。スタンドから見守った智弥さんは「すごく成長している。想像以上だった」と目を細めた。

 悔しい敗戦だったが、「最後まで楽しかった。良い経験になった」との思いもある。仲間と過ごした日々は宝物になった。(丸山朱理)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事