《白球の詩》三塁コーチ志願 けが越え信頼厚く 館林商工・高橋京佑選手
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三塁コーチとして出場した館林商工の高橋。仲間のプレーが成功すると笑顔でガッツポーズを見せた=上毛新聞敷島

 終盤まで1点を争う接戦。館林商工の三塁コーチ、高橋京佑は公式戦ならではの重圧を感じていた。1点を追う七回1死二、三塁、川上翔貴が右前打を放つと、打球の行方を見ながら大きく腕を回して2者が生還。勝ち越しに成功した。「きわどい場面で仕事ができた。ガッツポーズが出てしまった」とはにかんだ。

 昨年6月、室内での守備練習中に転倒し右肘を負傷。打撲と診断されたが、その後も痛みは引かなかった。再度検査をすると、右肘内側側副靱帯の損傷と診断され、医師からは靱帯の再建手術(トミー・ジョン手術)を勧められた。投げられるようになるまで最低でも1年はかかるとも。

 最後の夏まで約1年。「(診断は)受け入れられなかった」。手術するか、肘の状態を見たりしながら野球を続けるか、2カ月近く悩んだ。新チームで迎える秋季大会は目前に迫っていた。

 昨年8月、不安はあったが「全力でプレーできるように戻ってきたい」と手術を決めた。手術の前日、同級生の部員全員の寄せ書きが入ったボールを手渡された。「また一緒に野球しよう」。最後は仲間に背中を押してもらった。

 術後はギプスで1カ月間固定した後、筋力を回復させていくリハビリが始まった。「こんなに動かないのか…」。記憶にある自分の体とはずいぶんと違っていた。投球はソフトボールを1日20球、地面に投げるところから再開。地道に続け、今春には以前のように投げられるまでに回復した。

 リハビリに取り組みながら、昨年10月に3塁コーチを志願。「戻ってこれたのは仲間がいたから。チームに貢献したかった」。失敗もあったが、得点に関わる責任感を持つようになった。小林大介監督は「重要な役に自ら手を上げてくれた。仲間からの信頼も厚い」と期待を込める。

 試合は九回に突き放し、初戦突破を果たした。ミスをしてしまった場面もあったが「1点がより大切になる」と次戦に向けて気を引き締める。肘の状態に不安はないが「任されたところで100%やるだけ」。しっかり前を向く。(茂木勇樹)

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