全国高校野球群馬大会《準々決勝》前橋育英がサヨナラ 関学附に4-3
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関学附ー前橋育英 9回裏育英1死満塁、佐藤の中犠飛で阿部(手前)が本塁を突きサヨナラ、大喜びでベンチを飛び出すナイン=上毛新聞敷島
農大二―健大高崎 8回裏健大1死一、二塁、綱川が7回の本塁打につづき5点目となる左前打を放つ=上毛新聞敷島
 

 高校野球の第103回全国選手権群馬大会は22日、前橋市の上毛新聞敷島球場で準々決勝2試合を行い、前橋育英、健大高崎が準決勝進出を決めた。ノーシードの前橋育英は第1シードの関学附に4-3でサヨナラ勝ちし、健大高崎は春季大会で完封負けを喫した農大二に6-0で勝利した。
 チケットは同球場の上限枚数である2900枚が売り切れとなった。準々決勝から学校関係者の上限が各400人から各900人まで拡大しており、スタンドでは多くの人々が熱戦を見守った。
 23日は同球場で準々決勝の残り2試合を行う。

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▽準々決勝(上毛新聞敷島)

関学附010000200─3
前橋育英101010001x─4


 ○…前橋育英がサヨナラ勝ち。九回、井上の二塁打と申告敬遠などで1死満塁とし、佐藤の中犠飛で試合を決めた。初回は岡田のソロで先制し、三、五回は佐藤の適時打で加点した。

 関学附は七回、吉田、小泉が連打で出塁し、福岡の2点二塁打で追いついたが、後続が倒れた。

◎一丸で戦えた

 関学附・新井蓮主将の話 チーム一丸で戦えたが、まだ仲間と野球をしたかった。後輩には前橋育英を倒してほしい。

◎声掛けで危機乗り切る

 春の王者関学附は手ごわかった。前橋育英は先制してもすぐに追い付かれ、七回には一時同点に。それでも主導権を渡さず、歓喜のサヨナラにつなげた。荒井直樹監督は「守りで我慢できたことが大きい」と勝因を挙げた。

 最大のピンチは七回。中1日の登板で粘投を続けた主戦外丸東真が関学附打線につかまり、3安打で同点に追い付かれた。1死二塁から左腕菊池楽が継投。ボールが3球続いたが「周りが声を掛けてくれたから落ち着いた」と、2者連続の空振り三振で流れを断ち切った。捕手阿部咲人の「いけいけの場面は直球を狙ってくる。打ち気をそらすことを意識した」と変化球を多用した配球もはまった。

 九回はファインプレーでリズムをつくった。この回から登板した皆川岳飛は先頭が左打者とみるや「そっちにいくぞ」と二塁井上陽太にジェスチャー付きで指示。予想通り一、二塁間を抜けそうな強い打球が来ると、井上が体を張って捕球。素早く体勢を戻して一塁に送球し、ヘッドスライディングで滑り込んだ打者をアウトにした。

 井上は「緊張する場面こそ、黙って集中するより声を掛け合ってリラックスすることが大切。練習通りにできた」と胸を張った。

 太田にコールド負けを喫した春季大会以降、ポジションごとに話し合いを始めた。すると、プレーの中でも自然と効果的な声掛けが生まれ、連携が深まったという。自慢の堅守は一層引き締まったものになっている。
(越谷奈都美)

◎春王者の意地で2度追い付く

 春季大会を初めて制し、第1シードで今大会に臨んだ関学附だったが、2019年まで4年連続で夏の甲子園に出場している前橋育英の勝負強さに屈した。

 羽鳥達郎監督は「選手はよくやった。勝てなかったのは監督の差。何が必要か考えたい」と唇をかみしめた。
 先頭で出塁した打者を生かせなかったことが響いた。三回を除き、初回から七回まで先頭打者が安打で出塁したが、得点を奪えたのは二、七回のみ。四、五、六回は走者を二塁に進めることすらできなかった。

 象徴的だったのは五回の攻撃。左前打で出塁した福岡莉空をバントで送ろうとしたが、ファウルになり三振。後続の石原勇斗の時にエンドランを仕掛けたが、盗塁失敗に終わった。

 流れが悪い中でも七回、福岡の適時二塁打で追い付き、力を示した。先頭打者で2安打を放った根岸拳心は「追いつく場面は、自分たちの野球ができた」と悔しさをにじませながら振り返った。2本の二塁打を放った小泉優樹も「1年生大会で0-10で敗れた相手と対等に戦うまで力の差を埋められた」とチームとしての成長を実感した様子だった。

 チームをまとめてきた新井蓮主将は「敗れたことは残念だが、育英を倒すためにやってきたことに間違いはなかった」と前を向いた。
(新井正人)

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健大高崎が終盤一気 農大二に6-0

▽準々決勝(上毛新聞敷島)
農大二000000000─0
健大高崎00010014×─6


 ○…健大高崎が投打に圧倒した。先発今仲は速球を軸に変化球を織り交ぜ、10奪三振の完封。打線は七回に綱川の左越えソロで加点、八回には森川の2ランなどで4点奪い、突き放した。

 農大二は六回、四球や斎藤の二塁打で2死二、三塁の好機を迎えたが、本塁が遠かった。

◎支えられた1年

 農大二・福島隼斗主将の話 1点勝負になると思ったが、最後は点差が開いてしまった。周囲に支えられた1年だった。

◎狙い球絞り春の雪辱

 同じ相手に2度負ける気はさらさらなかった。春夏連続の甲子園出場を目指す健大高崎は、春季大会で完封負けを喫した農大二の好左腕と再び対戦。六回まで4安打1得点と攻めあぐねたが、終盤攻略した。

 想定通りに試合を運んだ。ナインは春に惑わされたシュート気味の球を見逃すことを徹底。送りバントを絡めて1点をもぎ取った四回以降も、走者の揺さぶりで相手投手の集中力をそぎ続け、甘く入るのを虎視眈々(こしたんたん)と狙っていた。

 これが成果として表れたのは七回。1死で打席に入った綱川真之佑主将はインコースに緩く来た3球目を一閃、今大会チーム7本目となる左越えソロを放った。その前の打席では同じ内角球を見逃し三振としていたため、「もう一度攻めてくると考えた。体を開かずに対応できた」と胸を張った。

 この一発で打線に火が付き、八回無死三塁では森川倫太郎が初球を捉えて右翼席に運ぶ2ラン。この回、打者10人を送る猛攻を仕掛け、終盤勝負に望みを掛けていた農大二を突き放した。

 守っては先発今仲泰一が散発4安打と連打を許さず、高校の公式戦では初の完封勝利を飾った。

 投打に隙がなく、チームの完成度は高まっている。青柳博文監督は「みんな助け合いながらやっている。この感じで残り2試合も臨みたい」と気を引き締めた。
(斎藤大希)

◎エース黒岩、執念に屈す
 「(健大高崎の)勝利への執念を感じた」
 春季大会では1点差で競り勝ったものの、今回は0-6と完封負けを喫し、農大二の2年生エースで先発した黒岩光崇は静かに振り返った。

 回を重ねるごとに、相手打線が牙をむき始めた。四回に均衡を破る先制打を許すと、七回には左翼越えの本塁打を打たれた。八回にも、甘く入った初球の変化球をスタンド中段まで運ばれ、「スタミナが底をつき、簡単に投げてしまった」と失投を悔やんだ。

 敗れはしたが、農大二打線の意地も発揮された。安打を放った小沢侑祐、斎藤巧、七井翔斗はいずれも副主将。福島隼斗主将は「チームを率いてきた副主将の3人が最後まで引っ張ってくれた」と感謝し、佐々木武監督は「健大高崎相手に戦い抜いた3年生を褒めてやりたい」と声を震わせた。

 先輩たちの悔しさを受け止めつつ、黒岩は「球速もスタミナもつけてまた敷島に戻ってくる」とさらなる飛躍を誓った。
(山崎遼)

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《熱球解説 川尻哲郎》最終回 好守で圧力

 春季大会を制し第1シードで臨んだ関学附と2019年まで夏の甲子園に4年連続で出場した前橋育英との対戦。強力打線を誇る実力校同士ということもあり、序盤の投手の出来が試合の展開を左右すると思い、先発投手の立ち上がりに注目した。

 関学附先発の石原勇斗君は初回に球が浮き、先頭打者に四球を出しながら2死を取ったが、育英の3番打者、岡田啓吾君に右越本塁打を許した。

 一方、育英先発の外丸東真君は先頭打者に右前安打を打たれながらも後続を断った。初戦から3回戦まで安定した投球を続けている外丸君は自分の狙ったところにコントロールできていた。
 ただ、二回に関学附が犠飛で同点に追いつき、石原君は立ち直った。その後は流れが二転三転する中で勝敗を分けたのは最終回の攻防だ。

 先行の関学附は先頭打者の小泉優樹君が一、二塁間に強烈なゴロを放ったが、育英の二塁手、井上陽太君がファインプレーでアウトにした。最終回のマウンドに上がった皆川 岳飛君は最速140キロ代後半の直球と変化球を織り交ぜる好投手で先頭を打ち取り、その後は落ち着いて投球できた。

 後攻の育英は九回表を抑えることで関学附の2番手投手、篠原正紀君にプレッシャーを与えた。先頭打者の西沢大希君が四球を選んで出塁。送りバントは失敗したが、九回表にファインプレーをした井上君が左中間に打ち返し、1死二、三塁の好機をつくった。井上君が9番ということを考えればバントがセオリーだが強攻策が奏功した。

 育英の選手に感じたのはそれぞれの場面で何をすれば走者を進め、得点につなげられるか考えていること。「勝負強さ」とも言えるかもしれない。九回裏1死満塁からも佐藤大我君が犠飛を打って試合を決めた。

 関学附は無死の走者を毎回のように出していたが、得点圏に進めることに苦労していた。バント、盗塁、エンドランと仕掛けたが、バッテリーを中心とする育英の守備陣がうまく防いだことも勝因に挙げられる。
 (元群馬ダイヤモンドペガサス監督)

 >かわじり・てつろう

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