ザスパクサツ群馬 J2復帰ならず 残り1戦残し3位以下に
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藤枝戦で敗れ、がっくりと肩を落とすサポーター=24日、静岡県の藤枝総合運動公園サッカー場
藤枝戦で敗れ、涙を浮かべて謝罪するクラブの奈良社長=24日、静岡県の藤枝総合運動公園サッカー場

 サッカーJ3のザスパクサツ群馬は25日、リーグ2位の鹿児島が沼津に1―0で勝利したことに伴い、3位以下が決まった。ザスパは13年間戦ったJ2からJ3に移り、サポーターとの関係改善を含めて再建に取り組んだが、降格から1年での復帰はならなかった。鹿児島は勝ち点を57に伸ばして2位となり、首位琉球とともにJ2昇格が確定した。J2からは、21位の熊本、最下位の讃岐がJ3降格となった。

◎上位を維持も好機つかめず

 残留決定を受け、草津温泉フットボールクラブの奈良知彦社長は上毛新聞の取材に対し「多くの皆さんの気持ちに応えられず、申し訳ない。サポーター、ファンはいつも温かく見守り、熱く応援してくれた。今は申し訳なさと感謝の気持ちでいっぱい」と述べた。

 2004年にJFLからJ2に昇格したザスパ。クラブ史上初めてJ3に舞台を移した今季は、命運を懸けて勝負に挑むことを意味する「乾坤一擲けんこんいってき」をスローガンに掲げた。6節終了時で17チーム中15位と序盤は低迷したが、夏の補強で新たな選手が加入したことなどで戦い方が安定した。

 布啓一郎監督が掲げる「守り勝つ」サッカーがチームに浸透し、驚異的な追い上げをみせて22節以降は3~4位を維持。昇格争いに絡むようになったが、「2位の壁」は高く、沼津、琉球戦と勝てば昇格圏入りできた好機をものにできなかった。

 クラブの経営面を巡っては、降格初年度の救済措置として1億2000万円がJリーグから支給されたが、打ち切りとなるため、来季は大幅な減収が見込まれる。

 ザスパは最終節を残した第33節時点で15勝10敗6分け。得点数は35、失点数は33。最終節は2日、ホームの前橋市の正田醤油スタジアム群馬で、YS横浜と対戦する。

◎「残念」「勝てるチームに」「来季こそ」 最終戦も大切に

 わずかに残されたJ2復帰への希望はかなわなかった。25日に行われたサッカーJ3第33節で鹿児島が沼津を下して昇格圏内となる2位をもぎ取り、ザスパクサツ群馬の3位以下と来季のJ3残留が確定した。降格後1年でのJ2復帰の夢はついえ、サポーターには落胆が広がった。一方、今季の戦いぶりを評価する声もあり、復帰が持ち越される来季の躍動に期待する声は強い。

 ザスパは24日の藤枝戦で0―1で敗れ、昇格の可能性は低く、厳しい状況に追い込まれていた。25日は鹿児島が沼津に敗れれば最終節に望みがつながる注目の一戦となった。前橋市内のカフェでは鹿児島―沼津戦のテレビ観戦会が行われ、集まったサポーターたちは祈るような表情で試合の行方を見守った。

 試合は互いに譲らない一進一退の攻防だった。後半29分、鹿児島の選手のゴールが決まり、そのまま試合終了。カフェのザスパサポーターは、喜びに沸く選手たちを映す画面をぼうぜんと見つめ、ため息を漏らした。

 2005年からザスパを応援している前橋市の会社員、長谷川将史さん(30)は「残念で悔しい。それでも今季は見ていて楽しかった。今以上に強いザスパとなり、来年の今ごろは、敷島で泣いて喜んでいたい」と前を向いた。同市のパート、高柳智典さん(30)は「来年は大一番で勝てるチームにしてほしい」と願った。

 今季のチーム作りを評価する声もある。富岡市の自営業、北村基泰さん(31)は運営の方向性を評価した上で、「シーズン序盤を中心にもったいない落とし方の試合が目立った。1点を取られても、2点、3点を奪って勝ちきれるチームが必要だ」と期待を込める。スタジアムDJを務め、アウェー戦にもたびたび足を運んできた佐山裕亮さん(38)=高崎市=は「ぎりぎりの昇格争いまでチームは来られた。もう一度、J2昇格にチャレンジしてほしい」と話した。

 今季からファンとなり、応援している高崎市の大学生、掛山さゆりさん(21)は「来季こそJ2を目指して頑張ってほしい。ただ、この選手たちで戦える今季最後の1試合を大切にして」と、最終節ホーム戦での奮起を望んだ。

《解説》攻撃の選択肢に課題

 ザスパクサツ群馬が1年でのJ2復帰を逃した。得点数はリーグで下から3番目の35得点。攻撃の選択肢が乏しく、攻撃力の無さも露呈した。先制点を奪われると、ブロックを効果的に崩せないため、サポーターからは「攻撃の形がなさ過ぎた」との声も漏れた。

 けが人の続出もコーチ陣を悩ませた。夏場に本拠地のグラウンドが使用できない期間があり、選手のコンディション調整が難しく、ハードな練習日程が続いたことも背景にある。

 乗り越えるべき課題がある一方、クラブと選手は大きく生まれ変わった。奈良知彦社長は「オープンな関係」を掲げ、サポーターとの対話の機会をたびたび設定。布啓一郎監督は、昇格争いに絡むまでにチームを立て直した。

 昨季88失点と崩壊した守備陣。指揮官は全員での連動した守備を掲げ、練習から徹底したハードワークを求めた。失点数は現時点で秋田とともにリーグで2番目に少ない33失点。GK松原修平を中心とした堅守は試合に安定感をもたらした。

 来季は降格救済金が打ち切られ、クラブは経営面でも岐路に立たされる。残留の悔しさを糧に、これまで以上に「勝てるクラブ」、そして地域に愛されるクラブへと育ててほしい。(運動部 稲村勇輝)

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